【月刊・白鵬】横綱が明かす「気持ちが入りすぎた」最多勝記録の更新 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 それでも、何とか全勝で迎えた9日目。平幕・輝との一番は、いよいよ千代の富士関の記録(通算1045勝)に並ぶとあって、気合いが入っていました。結果、はたき込みで輝を下して、大横綱の記録に並ぶことができました。素直にうれしかったですね。

 それからすぐ、11日目には最大の目標である魁皇関の記録に並べる一番を迎えました。相手は関脇の御嶽海でした。やや気持ちが入りすぎてしまったのか、寄り切り負け。すんなりと1047勝を挙げることはできませんでしたが、翌12日目の玉鷲戦に勝って目標を果たすことができました。

 通算1048勝という新記録がかかった翌日は、大関・高安と対戦。押し倒しで勝って、魁皇関の記録を更新することができました。当日は東京から家族も駆けつけてくれて、忘れられない一日になりました。

 優勝争いは、1敗の私を2敗で追っていた平幕の碧山が奮闘。千秋楽でも先に碧山が勝って2敗をキープし、最後に私が敗れれば、優勝決定戦までもつれ込む展開となりました。

 横綱・日馬富士との結びの一番。1分を超える長い相撲となりましたが、最後は寄り倒しで勝利して14勝1敗。碧山を押さえて、39回目の優勝を飾ることができました。

 昨夏から今年の前半にかけて、思うように白星を挙げられずに悩んでいた日々を、このときばかりは忘れて喜びに浸りました。優勝インタビューでは『V39』に引っかけて、「名古屋のみなさん、サンキュー!」と言ったのは、まさに私の心にあった正直な叫びだったと思います。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る