【体操】有言実行の金メダル。「新しい歴史を作った。そして東京へ」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 しかし、選手たちの意識は違った。水鳥寿思監督が振り返る。

「予選が終わった時は正直、『簡単にはいかないな』というのを実感させられました。でも考えてみれば、自分たちの得意種目のゆかだから、そこまでを何とか耐えれば、最後は気持ちよく演技をして優勝を勝ち取れるのではないかと、予選の結果をポジティブに考えることにしたんです」

 さらに幸いだったのは、山室のあん馬も本人が「落下した割には点数が出たなと思ったし、最低限のことはできたのかなという結果だった」というように、得点が13.900点出たことだ。2番手の加藤凌平も予選より高い得点を出していて、3人の合計は決して悪くない結果だった。

 そして次のつり輪でも田中を筆頭に、山室と内村も予選よりいい得点を出し、合計44.599点であん馬の失点をカバー。

 跳馬では、最初の加藤が着地を乱しながらも15.000点でまとめると、内村と白井は15点台後半を出した。ここにきて、選手にも笑顔が戻ってきた。それに対して、ライバルの中国は得点源のつり輪で、ユウ・ハオが着地でマット外に出てしまい予選より1点低く、合計では45.233点に終わった。その結果、あん馬で6位発進だった日本が3種目合計で、好調なロシアに次ぐ2位にまで順位を上げた。

 続く平行棒では、水鳥監督が「跳馬で15点台が並んで勢いがついたけれど、今日のターニングポイントは平行棒の田中だった。予選で失敗していた彼が、平行棒で成功するかどうかが一番大きかった」というように、一番手の田中は予選のミスを引きずることなく、15.900点の完璧な演技をして流れに乗せた。

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