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東京五輪へ注目。美女クライマー野口啓代が、ボルダリングJCを制す (3ページ目)

  • 津金一郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro

笑顔で優勝トロフィーを掲げる野口啓代(左)と藤井快(右)photo by Kyodo News笑顔で優勝トロフィーを掲げる野口啓代(左)と藤井快(右)photo by Kyodo News 完登した選手が、ホールドや壁を叩いて喜びを表す光景は珍しくない。だが、野口のそれは単に喜びを表現するだけではなく、まるで憑(つ)いていた悪いものを祓(はら)い落としているかのようにも見えた。

 今年5月で27歳になる野口にとって、BJCの舞台は2005年の第1回大会に16歳で初代女王となってから、2014年まで9連覇(2010年は開催なし)を達成する独擅場だった。しかし、昨年のBJCは、初日の予選をグループ1位で突破したものの、大会2日目に20名で競う準決勝でまさかの9位。2014年シーズンのWCボルダリング王者は、上位6選手が進める決勝ラウンドに残ることさえできずに散った。

「去年のBJCを振り返ると、やっぱりプレッシャーが大きかったなと思いますね。10連覇を意識しないようにしていましたけど、勝ち続けることの難しさを知りました。大会後はすごく落ち込みましたし、引きずりかけました。ただ、あの結果があったからこそ、去年はワールドカップで2度目の2連覇(過去に2009、2010年も連覇している)を達成できたのだと思っています」

 敗戦をバネに変えて世界の舞台で再び輝きを放ち、自信を取り戻した野口にとって、それを完全なものとして結実させるためにも、どうしても今回のBJCのタイトルは譲れないものだった。

 だが、準決勝は1課題目で完登したもののスタートに苦しみ、3課題目は完登を逃した。決勝ラウンドでも、1課題目はスタート直後の1、2手が解消できず、女王に返り咲くには暗雲が立ち込めていた。

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