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東京五輪へ注目。美女クライマー野口啓代が、ボルダリングJCを制す (2ページ目)

  • 津金一郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro

 野口は決勝ラウンド2課題目(※1)、半球状のハリボテ(※2)右下に付いた小さなカチ(※3)をマッチ(※4)した体勢から、勢いをつけて右足に乗り込みながら立ち上がり、右手でTOPホールド(※5)を取りに出る。右手全体でホールドを押さえ込んだ瞬間、バランスを崩しかけたが、カチを握った左手の保持力と、左足を壁に当てて体をコントロール下に置き直した。その直後、野口は左手でホールドを2度叩き、さらに左手をTOPホールドに添えて完登を決めると、今度はクライミングウォールを右手で3度叩いて喜びを爆発させた。
※1 決勝ラウンドは4課題。決勝進出6選手は1課題ごとに順番にステージに登場してトライする。全選手のトライが終わると次の課題に移行する。6選手は他の選手のトライを見ることはできない。
※2 ホールドの一種で様々な形状があり、抱え込めるほどの大きさがある。近年のWCはハリボテで作られる課題が主流。
※3 ホールドの一種。厚みが指先から第一関節ほどしかなく、指先を引っ掛けて握る。
※4 マッチ。ひとつのホールドを両手で持つこと。
※5 TOPはゴールに指定されたホールドのこと。TOPホールドを両手で保持すると完登となる。

「1課題目がスタートから何もできないまま終わってしまい、メンタル的に去年のトラウマに陥りそうでしたけど、気持ちを切り替えて2課題目以降に臨もうと集中し直しました。それで2課題目が登れた。めちゃうれしかったし、ほっとした気持ちがありましたね。あれでそれまでの悪い流れが断ち切れました」

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