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【月刊・白鵬】「夏を満喫した」という横綱の、初めての体験 (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 さて、先の名古屋場所について、ちょっと振り返ってみたいと思います。

 おかげさまで、2場所ぶり、通算35回目の優勝を果たすことができたわけですが、初日、2日目は長い相撲の末に白星を得ました。そのため、一部の方からは、「白鵬は力が落ちたのではないか?」などと、評されたみたいです。

 私としては、場所前に十分な稽古を積んできました。決して、体が動いていなかったわけでもありません。それだけに、「力が落ちている」という見解に関しては、正直、「そこまで言われなくてもいいのでは?」と内心では思っていました。

 実際、その後は順調に星を積み重ねていきました。10日目には、その前日にも横綱・鶴竜を破った関脇・栃煌山にはたき込みで敗れてしまいましたが、1敗をキープして千秋楽を迎えました。

 千秋楽、結びの一番では、2敗で追う鶴竜と対戦。相当な力相撲となりました。鶴竜はこの場所、それまで2場所連続で休場していたとは思えないような安定した相撲を取っていました。その実力を、最後の一番でも存分に発揮してきました。

 ただ私は、鶴竜の強さをかなり警戒していました。その分、「負けられない!」と、はやる気持ちもありましたが、たとえ本割で負けたとしても、同星で優勝決定戦に持ち込まれるだけ。「もう一番ある」と考えることで、自分の気持ちを落ち着かせることができました。そうして、1分ほどの長い相撲となりましたが、最後は思い切った相撲が取れて、いい結果につながったんだと思います。

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