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【大相撲】舞の海が『火ノ丸相撲』を読んで、思うこと (3ページ目)

  • スポルティーバ編集部●取材・文 text by Sportiva
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo

――やっぱり体重が少ないことはハンデなのでしょうか?

「実は体重はあまり関係ないんです。上背、身長が大事なんです。もし、私が180センチあったら、大関になっていましたよ。ああ、180、190センチに生まれ変わりたい(笑)。小さい力士が身長の高い力士と対戦すると、まずつられてしまう。胸を合わせられるとこっちの姿勢が高くなるし、腕が長いので、投げ技で大きく振られるし、足も長いから、掛け技をやられると、ひとたまりもない。

 また、こちらがいい立ち合いをしても、大きい力士は腕が長いから、下がりながらでも“まわし”に手が届いてしまう。彼らは挽回できるんですよ。でも、小さい力士が立ち合いに失敗すると、客席まで飛んでって終わり(笑)」

――たしかに今の3横綱の体重を見ると、平均以下です。

「ホント、身長差は大きい。日馬富士(136キロ)が170キロになったら、逆に動けなくて、横綱にはなっていないでしょう。これは日本人力士が苦戦している理由の一つで、身長のわりに体重が多すぎるんです」

――かつては千代の富士、鷲羽山、寺尾、そして舞の海さん。小兵力士が幕内でも土俵を沸かせました。今はもう、それが難しい?

「うーん、小さい人の技術のレベルが低いですね。まあ、千代の富士関のような力士はもう出ないでしょう……。あの体で、がっぷり四つに組んで、大きな力士でもつってしまう。日馬富士にはあれ、できないですもの。私の場合、見本となる力士はなくて、大柄な力士にどうしたら勝てるか、ひたすら考えていました。小さな土俵を平面ではなくて、3Dでとらえたら、どうだろうということで、“八艘飛び”()が生まれました。
※立ち合いと同時に横に飛んで着地し、一気に相手の後ろに回り込む変化技

 手の長い力士の突き手は棒でつつかれる感じですから、まさにボクシングのパンチをかわすように潜り込む練習をしたり、脇の下に潜る時もドリルのようにねじりながら入っていけば、より入っていきやすいだろうか、などと日々考えていましたよ。いまの人はまともすぎる。押し相撲がメインになって、教えるほうも『余計なことをするな』ですから。うちの親方は発想が豊かで、自由にやらせてくれたのもありがたかったですね」

――そうなると、他の力士と稽古の内容も変わってきますよね。ぶつかり稽古などはしていたんですか?

「他の力士と違う感覚を持ってやっていました。相撲で使う全身の筋肉を効率よく鍛えられるトレーニングととらえて、取り組んでいました。ジムに行くと、この筋肉鍛えますよ、と意識してやるでしょう? それと同じ。いやいや大きい力士を押しても苦しいだけで、身になりません。だから、私は立ち合いで一気に押し込むのではなく、ジワジワとゆっくり押して、負荷をかけながらやっていました。頭の中で、いま背筋使っているな、足の筋肉使っているなと」

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