東京五輪女子体操金メダリスト、チャスラフスカさんに聞く (4ページ目)
――この本を日本人に向けて書きたかったのは、日本のスポーツ選手の多くは、コーチや監督から言われたことだけをやる傾向があるからです。それが体罰の問題などにもつながっていくのですが、ベラさんは20年、自分の考え方を変えなかった。それを読んでほしかったんです。
「それが伝わればすばらしいし、ありがたいと思います」
――最後に、東京五輪が開かれる6年先、体操やスポーツ界がこうなってほしいなというご意見があったら教えてください。
「まず女子体操については、大人のスポーツになっていたら嬉しいですね。私が2011年、日本で開催された世界選手権で見た日本チームは、女性らしく美しかった。田中理恵選手がいい例でした。スポーツ全体についていえば、大事なのはスポーツは友好のためにあるものだということです。お金より友好です。結果だけではなく、選手がお互いに輝けたらすばらしい五輪になるでしょう。
日本は前の五輪と比べると立場が違います。1964年の日本は、戦争が終わって日本がここまで発展したということを世界に見せなければならなかった。今は世界中の人が日本を知っています。経済ではトップにいて、トヨタもパナソニックもみんな知っている。そこを紹介する必要はもうない。だからこそ、もっと人間らしい五輪にすることができると思います。期待しています」
――6年後のオリンピックはもちろんのこと、未来のスポーツ界のためにも厳しいアドバイザーでいてください。ありがとうございました。
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