アジアパラ閉幕。メダル143個も2020東京パラに募る不安
韓国仁川で開催されていたアジアパラ競技大会は24日に閉幕。金38個を含む143個のメダルを獲得した日本選手団は25日、現地で解団式を行なった。
4×100mリレー(片下腿切断などのクラス)で優勝した(左から)多川知希、佐藤圭太、鈴木徹、山本篤 日本選手団の主将で車いすテニスの国枝慎吾(ユニクロ)は、前回の広州大会に続き単複優勝を達成。その背中を見せることで主将としての役割を全うした。優勝者に与えられる2016リオデジャネイロパラリンピック出場権も獲得し、「2年後に(照準を)合わせる意味で楽になったが、自分のテニスと相談しながら試合を組んでいくことに変わりはない」と話している。
日本のメダルランキングは中国、韓国に次ぐ3位。4位と迫るイランのほか、インドやタイの活躍も目立った。日本は大会前に掲げた120個の目標を上回るメダル数を獲得したが、「リオでもっといい成績を示さなければ、日本国内にパラスポーツをアピールできない。(4月に管轄が文部科学省になり)オリンピック・パラリンピックが並列に考えられるようになったが、それはつまり、よりメダルにこだわらなければならなくなったということ」と、JPC(日本パラリンピック委員会)強化委員長の大槻洋也団長は言う。2020東京パラリンピックが決まってから、夏季としては初めての総合競技大会だった。
6年後に活躍が期待される世代も躍動した。なかでも、最も大きな可能性を見せたのは陸上競技に出場した、大学3年生の加藤由希子(仙台大学)だ。投てき3種目(砲丸投げ、やり投げ、円盤投げ)日本記録保持者として、初めてのアジアパラ競技大会に臨んだ彼女は、23日に行なわれた女子砲丸投げで(切断などのクラス)の世界新記録となる12メートル21で優勝に輝いた。
生まれつき左ひじから先がなく、バランスを取るために砲丸を持たない左手に義手着けて、右手で砲丸を投げる。最も得意とする砲丸投げで、今回は大会前から練習でマークしていた世界記録の樹立を狙っていた。
「記録を出す自信があったので、緊張することもなかった。落ち着いて自分の試合ができたことが結果につながったと思います」と振り返り、とびきりの笑顔を見せる。
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