葛西紀明、ノーマルヒル8位もラージヒルでの反撃に手応え (3ページ目)
ノーマルヒルは飛距離も短く、空中で受ける浮力も小さい。勝つためには、正確な技術と踏み切りでしっかりとジャンプ台に力を伝えて立てるパワーが必要になる。だが、今の葛西は、W杯バットミッテンドルフのフライングヒル(ラージヒルよりさらに飛距離が出る台)で優勝したように、抜群の空中感覚を武器に、飛距離の長いジャンプ台で強さを発揮する。その点で、ノーマルヒルよりもラージヒルのほうが、葛西は持っている力を出しやすいと言えるのだ。
「今日の試合前に、まだ日本はメダルがないので、ここで一発メダルを獲って、勢いを付けてやろうと思っていたんですけど……。それができなかったのは残念でした。1位から3位までのフラワーセレモニーを見て、すごく悔しかったですね。だから次のラージヒルではお返ししてやらなければ、と思いました」
そう言って微笑む葛西は、ノーマルヒルで確かな手応えを得たようだ。
また、今回のソチでは、過去6回とは違った五輪の楽しみ方もできるようになったという。主将として開会式に参加し、ノーマルヒルの試合前日には女子モーグルの上村愛子の応援にも出かけている。これまで出場した五輪ではなかったことだ。
「他の競技を見てみたいという気持ちもあったから、今回は今までの五輪とは違う楽しさを感じられていますね。それは主将に任命されたというきっかけもあるけど、W杯で優勝して自信を持てたということも影響していると思います」
次に出場するラージヒルは15日。7回目の五輪で、精神的なゆとりを感じさせる葛西のビッグフライトに期待したい。
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