「大本命」髙梨沙羅がソチで金メダルを争う「対抗馬」は誰か?

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi photo by Getty Images

 W杯で圧倒的な強さを見せつけ、世界中からソチ五輪女子ジャンプの金メダル「大本命」と見られている髙梨沙羅。

今季W杯で10勝と圧倒的な強さの髙梨沙羅今季W杯で10勝と圧倒的な強さの髙梨沙羅 最大のライバルである昨季世界女王のサラ・ヘンドリクソン(アメリカ)は、昨年夏、オーベルストドルフ(ドイツ)のラージヒルでの練習中、膝の靱帯を負傷しその治療で今季のW杯を欠場。そのため、今シーズンの髙梨は圧倒的な強さを見せている。

 髙梨は、1月の札幌と蔵王で連勝したあとに臨んだ、W杯第11戦プラニッツァ(スロベニア)では、今季2度目の敗戦を喫して2位に止まった。「テイクオフの部分が良くなかったので、後半につながらなかった」とコメントしたが、敗因はその一点のみ。札幌では他のトップ選手より助走速度が時速1キロほど遅くなっていたが、それをプラニッツァでは修正してスピードアップできたため、タイミングがずれたのだろう。

 逆にこの敗戦は、気持ちを引き締めるきっかけになったのではないか。実際、続く第12戦、13戦のヒンツェンバッハ(オーストリア)では連続優勝。シーズン通算9勝目と10勝目を挙げて、昨シーズン、サラ・ヘンドリクソン(アメリカ)が記録したW杯の女子シーズン最多勝記録を更新し、ソチ五輪へ弾みをつけている。

 今シーズン、エマ・クリネク(スロベニア)やジャリナ・エルンスト(ドイツ)など、将来性を感じさせる若手が何人か出てきたが、クリネクはケガで脱落し、エルンストは調子を落している。また、昨年12月からカリナ・ボクト(ドイツ)やイリナ・アヴァモクワ(ロシア)が安定して2位、3位を確保するようになったが、まだ髙梨を上回るまでにはなっていない。

 そんななか、不気味な存在なのが、シーズン序盤は調子に乗れていなかったが、1月に地元プラニッツァでW杯復活優勝を遂げたイラシュコ(オーストリア)だ。

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