【スキージャンプ】男子ジャンプ陣も進化中。世界選手権で差した光明
男子団体ノーマルヒルを戦った(左から)清水礼留飛、葛西紀明、伊東大貴、竹内択「これが昨日だったらな......」
笑みを浮かべながら言う竹内択だが、その口調は真に迫っていた。
2月20日から3月3日までイタリアのヴァル・ディ・フィエンメでノルディックスキー世界選手権が開催された。
24日のジャンプ・ノーマルヒル混合団体。各国男女2名ずつ。トップレベルの選手たちが、ほとんど変わらない追い風の条件で飛ぶ中、日本チームの4番手で飛んだ竹内は1本目、2本目ともに、前日の男子個人ノーマルヒル優勝のアンデシュ・バーダル(ノルウェー)や2位のグレゴール・シュリーレンツァウワー(オーストリア)を上回る、最高得点を記録した。
竹内の前には、確実に高得点を出せる高梨沙羅がいたうえ、世界選手権初採用の男女混合団体戦ということで個人戦とはプレッシャーの掛かり具合も違っただろう。だが、今の自分の力を確かめるには絶好の試合展開でもあった。2番手で飛んだ伊東大貴も竹内と同じゲートからスタートし、竹内、バーダル(ノルウェー)に次ぐ3番目の得点を獲得していた。
「若干のミスがあるなかでもこのくらい飛べるというのは、だんだんレベルが上がっているということだと思いますね。いつも緊張はするけど、それをしっかり受け止めて、頭の中で自分のやることを整理するのが大事。最近はそれができているから試合でも安定しているし、今日も『飛べる』という確信めいたものがありました」と竹内は冷静に振り返る。
その前日23日のノーマルヒル個人戦は風の方向や強さが変化し、雪も降る厳しい条件だった。37番目の竹内の頃になると、向かい風が強くなっていた。その中で102mまで飛距離を伸ばしたが、ゲートファクターとウインドファクターで15.1点も減点される状況。竹内は「あの風なら普通に飛べば飛距離は変わらないから、ゲートを1段下げても良かった」と悔しさを滲ませた。
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