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【ノルディック複合】惜しくも4位。日本の黄金期再来はなるか? (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi photo by Kishimoto Tsutomu

 3位アメリカと1秒5差だったこともあり、「ジャンプの貯金をうまく使えなかったのは悔しいですね。でも、見ていてドキドキする試合だったし、ジャンプで波乱がなくてもメダル争いに参加できたという実感はあるので、みんな力がついてきた証拠」と加藤は言う。

 渡部暁斗は「ジャンプで1位になると思っていなかったから、期待以上の仕事ができて雰囲気も良くなっていた。でも、そう簡単にうまくいかないことが今回わかってよかった。ジャンプがよければメダル争いに絡めることがわかったので、これから各々の課題を克服していけば、いいチームになる」と手応えをつかんでいた。

 メダル争いを繰り広げた1位から6位までのタイム差は7秒6という今回の接戦に加わることができた日本だが、こういう試合を制するのに必要なものは何なのか。

 その問いに渡部暁斗は「ジャンプは、条件がバラつかなければ他のチームはもっと飛んでくるはず。だから、こちらもジャンプを安定させなければいけない。でも、それ以上に必要なのは走力のレベルアップでしょうね。僕自身、もっと途中で攻められるような走力が必要」と答える。

 今回、その走力不足を最も痛感したのは1番手だった弟の善斗だ。

「このチームで戦えることはわかったし、ウィークポイントが僕ということもハッキリしたので、走りを伸ばさなければいけないと思っています。逆に言えば僕が走力をつければ、もっと楽に戦えるし、メダルに近づくと思います」

 兄の暁斗が2006年トリノ五輪に出場した頃も、今の善斗と同じようにジャンプだけの選手だった。だが、それから09年世界選手権優勝の立役者となった小林範仁と練習をして走力をつけると、ジャンプのレベルも向上させ、W杯で表彰台の常連になった。善斗も兄と同じように成長する可能性は十分にある。

 河野ヘッドコーチは、まずは今のメンバーがW杯などの国際大会でメダル争いに絡み続けることが必要と考えている。そういう経験を積んでいくことで、それぞれが「走力でもトップクラスの選手に負けていない」という自信をつけることができる。また、今後、さらに激しい競り合いを経験することによって、細かな駆け引きやトップに立つためのテクニックを磨くこともできる。

 スプリント力を買われている湊はこう言う。

「レースの駆け引きやスパートするタイミングなど、ずっと範仁さんに教わってきたけど、今回はそれを発揮することができなかった。その辺りのテクニックを磨いていく必要があると思います」

 今の日本複合チームにとって、「自分たちはできる。チャンスさえあれば優勝も狙える」という自信を持ち、「隙あらばメダルを」という姿勢を持ち続けていくことが、メダルへの近道だろう。

 今回の世界選手権は、ラージヒル個人と、ラージヒルチームスプリントがまだ残っている。ジャンプ台も大きくてノーマルヒルより浮力を受けやすいだけに、ジャンプが好調な加藤や、ジャンプが本来の調子に戻ってきた渡部暁斗にも、メダル争いのチャンスはある。ここイタリアのバルデフィエメで、黄金期の再来を予感させる戦いを期待したい。

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