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かなだいは一心同体で別世界をつくり上げ、金メダリストのアリサ・リュウは全力エンジョイ【スターズ・オン・アイス】 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Yoshiyuki Komiya

【アリサ・リュウは「ドギマギしちゃう」】

 そしてショーの終盤には、ミラノ五輪で金メダリストになったアメリカのアリサ・リュウが登場した。

 リュウはとにかく滑ることを楽しんでいる。いや、スケート人生を楽しんでいる、というほうが正しいか。公演後の記者会見、彼女は壇上から大勢の報道陣を見渡し、ブラックとゴールドの縞(しま)模様の髪の毛を揺らしながら、「ドギマギしちゃう。写真撮っていい?」といたずらっぽく体を弾ませた。スマートフォンを報道陣に向かってかざすと、「Smile,Guys!!(笑って、みんな)」と撮影し、奔放な笑みを浮かべた。

「このツアーに参加できて幸せだし、興奮しています!」

 リュウは明るい声で言っている。

「日本に来るのは7回目です。日本に来るの、大好き! 今回、グループナンバーも気に入っています」

 公演の最後、彼女は積極的にファンに近づき、ハイタッチしていた。サービス精神も旺盛だった。10代で天才少女と騒がれながら、一度引退して復帰した彼女は達観している。

「少しおかしく聞こえるかもしれませんが、オリンピックで金メダルを獲るのは、私にとってゴールではありませんでした。私のゴールは、できるだけたくさんのプログラムを作って、たくさんのスケーターとつながることです。ただ、オリンピックで優勝したことによって、いろんな機会に巡り合うことができました。たとえば、映画監督と話せたのはうれしい経験で......」

 アリサは解き放たれていたことによって、極限の勝負に強かったのかもしれない。ミラノでも大阪でも、どこでも気負いがない。それはスケーターとしては大きなアドバンテージだ。

「勝つためだけに何かをするということを私はしません。私自身の好奇心を満足させたいんです。そんな自分の演技を大勢のファンに見せたい!」

 彼女は五輪前にそう語っていたが、まさに有言実行だった。

 世界中のトップスケーターが集ったリンクは、祝祭の様相を呈している。大阪公演は5日まで。4月10日からは、東京辰巳アイスアリーナで3日間、東京公演が行なわれる。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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