【ミラノ五輪】踊る鍵山優真に大歓声「来い、来いという気持ちで」 王者マリニンを破る渾身の演技 (2ページ目)
【自己最高得点に迫り世界王者を破る】
竹内監督は鍵山の演技をこう評価する。
「すばらしいのひと言に尽きます。彼には一番プレッシャーがかかったと思います。りくりゅう(三浦璃来・木原龍一)や坂本花織の気合いのこもったパフォーマンスを見て、自分も続かなければと思っただろうし、そんななかで本当に集中をしていた。だからこその、最後のあの喜びのパフォーマンスだったと思います」
鍵山の得点は、昨年12月のGPファイナルで更新した自己最高得点108.77点に0.1点届かないだけの108.67点。そのあとに滑った世界王者、イリア・マリニン(アメリカ)は鍵山の得点を意識したのか、予定していた冒頭の4回転アクセル+3回転トーループをこれまで高得点を出していた4回転フリップに変更した。
だが、その後のトリプルアクセルは少し詰まる着氷になって減点されると、後半の4回転ルッツ+3回転トーループでもルッツが回転不足の判定となる。珍しくミスの出る滑りで98.00点にとどまり、鍵山が1位の10点を獲得。アメリカと日本の得点差を1点までに縮めた。
人並み外れた高い資質を見せつけるようにハイレベルな演技を続けてきたマリニンが、初めてプレッシャーを感じた戦いだったのかもしれない。
「ミラノに来てからはうまくいっている感覚がすごくあって、オリンピックと相性がいいのかなって思っているんですけど(笑)。その感覚が本番でも出ていることはいいことだと思います。自己ベストに近い点数が出たことはすごく大きいけど、まずはチームに貢献できたことを一番うれしく思います。このあとの個人戦もすごく大事になってくるので、今日の感覚を忘れず、しっかりと研ぎ澄ませながら頑張りたいと思います」
鍵山はそう振り返った。
優勝を狙うと仲間たちと誓ったこの団体で渾身の演技ができたことは、鍵山が殻を破るための大きなきっかけとなったかもしれない。そういう意味では、単にマリニンから勝利を挙げた結果以上に、今後の演技の充実に向けても得るものが大きかっただろう。
著者プロフィール
折山淑美 (おりやま・としみ)
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。
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