宇野昌磨「攻め続けたい」史上初の4回転フリップ成功、4回転5本構成......世界トップへの道のり (2ページ目)
【史上初の大技ジャンプを成功】
そんな宇野のシニア初シーズン。フリーのみで競う団体戦のジャパンオープンでは、4回転トーループを入れた構成をノーミスで滑り、ソチ五輪2位のパトリック・チャン(カナダ)を抑えて185.48点の高得点を出し1位に。日本チーム優勝の原動力になった。
GPシリーズ初戦のアメリカ大会は、SPで4回転トーループと3回転フリップ+3回転トーループを基礎点が1.1倍になる後半に入れ4位発進。そこからフリー1位で巻き返して総合2位の初表彰台をゲット。そして、次のフランス大会のSPをわずかなミスに抑えて自己ベスト更新の89.56点で1位に。フリーはSP当日にパリで起きた同時多発テロ事件の影響で中止になって優勝が確定してGPファイナル進出を果たした。
スペインで開催されたGPファイナルは、羽生結弦が前戦のNHK杯に続く2回目の300点超えを出して歴代世界最高得点を330.43点とし、強烈な印象を残した。地元のハビエル・フェルナンデス(スペイン)もフリーで史上2人目の200点超えを果たし合計292.95点というハイレベルな大会のなか、宇野はSPで後半の4回転トーループを転倒し、4位発進となったが、フリーは4回転トーループ2本とトリプルアクセル2本を確実に跳び、自己ベストの190.32点を獲得。合計を276.79点にして3位に入った。
「GPファイナルで表彰台に上がるとはまったく思っていませんでした。悪い順位だとイヤだったけれど、フリーは自分の満足できる演技ができてよかったです。6分間練習が悪かったからこそ焦るのではなく、『やってやるぞ』という感じになって、一つひとつのジャンプに集中できました」
宇野はそう話し、シニアのトップレベルで戦えることを確認した。
その後の全日本選手権では、フリーで冒頭の4回転トーループが2回転になったあと、最後の3連続ジャンプでリカバリーを図ったが成功しなかった。得点は169.21点も、「逃げずに攻めたことは満足している」と振り返った。ノーミスだったSPの貯金が効いて総合2位になり、初の世界選手権へと駒を進めた。
その大舞台は総合7位になり、2位の羽生とともに翌2017年の世界選手権出場枠を2枠から3枠に増やす役割を果たしたが、SP、フリーともにミスが出て264.25点にとどまった。
「今までいつも以上に練習した時はいい演技ができて報われていましたが、今回は『これだけ練習をしたのにこんな演技か......』という結果。練習量以外に問題があるとしか思えない」と、宇野はもやもやする気持ちを口にした。
それでも2016年4月に初開催となった地域別対抗戦のコーセー・チームチャレンジカップでは、ISU公認大会史上初の4回転フリップを成功。得点は非公認記録ながらSPで105.74点、フリーで192.92点と自己最高得点を上回ってシーズンを終えた。
翌2016−2017シーズンは、初戦のロンバルディア杯から、SPとフリーともに4回転フリップを入れる新たな構成に挑んだ。GPシリーズのアメリカ大会は自己ベストの279.34点で優勝すると、次のロシア大会ではSP1位からフリーでフェルナンデスに逆転される総合2位だったが、285.07点とさらに自己ベストを更新した。
2回目の出場となったGPファイナルは、総合3位で表彰台に上がる。羽生がインフルエンザ感染で欠場した全日本選手権は、フリーで4回転4本構成の強みを生かして初優勝を果たした。
そして2月の四大陸選手権。SPで初の100点台となる100.28点を獲得すると、フリー冒頭で4回転ループを決め、ネイサン・チェン(アメリカ)と羽生に次ぐ総合3位に。2回目の世界選手権はSPを104.86点で2位につけると、フリーでは223.20点を出した羽生に逆転されたが、「もう開き直って自分のことだけをやろうと思った」と、自身初の200点台に乗せる214.45点を出す。合計319.31点で総合2位だった。
シーズン最終戦の世界国別対抗戦後に宇野は、「すごく充実した楽しいシーズンでした」と振り返り、次への意欲をこう話した。
「シーズン途中でジャンプの難易度を上げたことがよかった。4回転フリップだけの時はなかなかまとめられなかったですが、4回転ループも入れたことによって、不安がループだけに集中したのか、他のジャンプが安定してきました。来季も攻め続けたいと思うし、楽しいと思える試合をひとつでも多くしたいです」
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