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「今日、いい感じじゃん」鍵山優真の自己ベスト更新をあと押しした自己陶酔マインド (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【伸びしろを残す自己ベスト更新】

 リンクに入った鍵山は、静寂すら感じさせた。同志と言える佐藤駿が98.06点とシーズンベストスコアを叩き出した直後で、会場は熱気に包まれていたが、泰然とした様子だった。最大出力を出す準備ができていた。

「自分の前で(佐藤)駿がいい流れをつくってくれたというか。プレッシャーは感じずに、僕もこのまま頑張ろうって思っていました。いい刺激をもらえましたね」

 鍵山は言ったが、ライバルの存在が近くにあることで、彼は強い刺激を受けていた。GPシリーズのNHK杯での接戦も、ノービス以来の"バチバチ感"を楽しんでいるようだった。

「駿が今シーズン、いいパフォーマンスを続けるなかで、自分もついていかないとって気持ちもありますね。オリンピック出場も目標にしているので、そこでいいパフォーマンスしないと。今日も、その気持ちは強かったです」

 冒頭、鍵山は4回転トーループ+3回転トーループの大技を完璧に降りている。4回転サルコウも、みごとに着氷した。華麗なスピンのあと、トリプルアクセルを美しく降りる。そこからはギターで奏でるジャズのリズムに体を弾ませると、会場に手拍子が鳴り響き、まさにオンステージだった。スピンもステップもオールレベル4。フィニッシュポーズのあと、右腕を力いっぱいに振り下ろした。

「自己ベスト更新がうれしかったです。4年間、ずっと高い壁に阻まれて課題になっていたので。100%の出来ではなかったんですけどね。自己ベスト更新で満足したわけではなく、サルコウはもっとうまく跳べたし、まだ高いところ目指せるという伸びしろを感じられたのがよかったですね。110点台も夢じゃないなって」

 彼は高揚感を残したまま、取材エリアで質問に答えていた。

「次の試合でも(同じ気持ちの高め方を)試して、もしうまくいったら、この方法が合っているのかなと思います。今のところ、たまたまって可能性もなきにしもあらずなんで(笑)。今は練習からそのマインドをつくっていきたいと思いますし、今回の感覚を忘れずに、明後日(12月6日)までしっかり集中を意識していきたいです」

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