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【フィギュアスケート】坂本花織、現役最後のNHK杯で首位発進 ライバルも「感動して泣きそう」と絶賛 (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【いい流れでNHK杯4回目の優勝へ】

 率直に言って、何を緊張していたのかわからないほど、彼女の演技は頭抜けていた。ただ、そうやって緊張するということは究極の真剣さを意味している。おそらく、そこに圧倒的な強さの理由があるのだ。

「公式練習まではすごく緊張していたんですが、本番でいい緊張に落ち着いてよかったです。(朝の公式練習後に)一度、ホテル戻ってリラックスしていたら落ち着いてきて、ご飯も喉を通るようになって、『いい流れが来ているかも』ってアップの時に思ってからはいい感じで。

 6分間練習で不安はなかったです。緊張し疲れちゃったのかもしれません(笑)。落ち着いて、普段の練習と変わらない演技ができました。ジャンプも納得いくものだったので、少しホッとしています」

 地元、関西凱旋で格の違いを見せつけた。

「パッと観客席を見た時、ところどころ知っている顔があると、やっぱり地元だなって思いますね。身近な人に国際大会を見に来てもらえることはなかなかないので頑張りました! しっかり(演技が)ハマってきた実感があって、ショートが鬼門のイメージがなくなってきました。いい方向につながっているなって」

 坂本は笑顔で言った。GPシリーズのフランス大会では新星、中井亜美に敗れて2位だったが、それも糧にしていた。

「(フランス大会は)ハイレベル過ぎやぞって思いました。シーズン序盤の大会で、220点以上で勝てなかったんですから。自分にとっても大事な経験でした。私が2位になる時は意味のあることが多い。まだまだ取りこぼしも多かったので、『気を抜いている場合ちゃうぞ』って点数と順位で示されたんだと思いました。そこからも波はあったんですけど、今回はショートをちゃんとできたので、まずは一安心って感じです」

 フランスで76.20点だったスコアを、今回は更新することに成功した。一戦一戦、競技人生のフィナーレに近づいていく。

「フリーも集中力を切らさずに。前半をしっかり演じて、リラックスして行けたら、後半までいけると思います。自分のスケートを演じきって、笑顔で終われるように」

 SP1位の坂本は、フリーも最後の登場になる。現役最後のNHK杯、優勝すれば4回目だ。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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