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町田樹が駆け抜けたフィギュアスケート人生 悔しいソチ五輪、羽生結弦との感動的な激戦、突如の引退発表... (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【世界選手権代表選出も突如の引退発表】

 翌2014−2015シーズンは、前季と同じフィリップ・ミルズ氏による振り付けのSP『ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲』、フリー『交響曲第9番』で臨んだ。

 GPシリーズ初戦のスケートアメリカは269.09点で優勝したが、2戦目のフランス大会は得点を下げて2位。3年連続出場のGPファイナルはSP2位発進も、フリーで大きく崩れて総合6位に終わった。

 そして、全日本もSP2位発進からまたもフリーで崩れ、242.61点で総合4位。2位がジュニアの宇野昌磨だったため2回目の世界選手権代表に選ばれたが、その発表があった氷上で町田は代表の辞退と競技引退を表明した。

 翌年4月から一般入試で受験した早稲田大学大学院スポーツ科学研究科での学業に専念すると明かし、「今大会の演技を終えた晴れやかな気持ちで、本日の朝、引退を決断しました」と話した。

 その後は学業の傍らプロフィギュアスケーターとして、アイスショーで自身が振り付けた独創的な作品も数々披露したが、2018年秋にはプロ活動もやめ、自身の研究活動に専念している。

 シニアの世界トップで戦ったのは3シーズン弱。町田は軽やかなピケターンで、その時間のなかを一気に駆け抜けていったようだった。

終わり

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<プロフィール>
町田樹 まちだ・たつき/1990年、神奈川県生まれ、広島県育ち。2006年全日本ジュニア選手権で優勝し、シニア移行後は2012年GPシリーズ・中国大会で優勝。GPシリーズ・スケートアメリカでは2013年、2014年と連覇を果たす。2013年全日本選手権で2位となり、2014年ソチ五輪に出場(5位入賞)。2014年世界選手権でも2位になるなど数々の大会で好成績を収める。2014年に競技活動を引退。2015年に関西大学を卒業し、同年、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程へ進学。2020年3月に博士後期課程修了、博士(スポーツ科学)を取得。2024年から、國學院大学人間開発学部健康体育学科准教授に。

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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