【フィギュア】復帰の可能性は? 五輪王者ネイサン・チェンに直撃「医学部出願へ向け本当に忙しい」 現世界王者・女王への思いも明かす (4ページ目)
【"これが私"を示したアリサ・リュウの演技に感動】
ーー世界女王となったアリサ・リュウ選手が、「ネイサンはまだあと2年はできるから、復帰するようにお願いする」と言っていました。また選手に復帰する可能性はありますか?
僕は今、医学部の出願に向けたプログラムが本当に忙しいのです。夏には「メディカル・カレッジ・アドミッション・テスト」があるので猛勉強していて、生き残るために必死です。
ーー復帰の予定はないとのことですが、スケートは続けていますか?
ボルチモアの住んでいるところから45分くらいのところにリンクがあって、金曜日は授業が早く終わるから、そこで滑っています。週に1回ですね。
ーーリュウ選手は、ともに北京五輪で戦った仲間ですね。彼女の復帰についてはいかがでしょう?
彼女がやり遂げたことは、本当に感動的です。僕はアリサのファンだし、彼女が成し遂げてきたすべてのこと、そして復帰した、そのなかで自分をコントロールしてきたことを、本当にパワフルだと思うし、すごく刺激を受けました。「これが私であり、私の人生であり、私自身のためにこの場に戻ってきた」という気持ちが伝わってきました。
ーー復帰したシーズンに世界女王に駆け上がりました。
アリサのことを知れば知るほど、彼女は堅実で健全で、とても自信に満ちた人なのだと痛感させられました。彼女は自分が何者であるかを知っているし、自分が何をしたいのかもわかっています。若い頃のアリサは、自分が求めているものは何なのかをわかっていても、「これが私」という自信や、勇気、確信がなかったのかもしれません。でも年齢を重ね、五輪に出て、団体のメダルも獲った今、彼女にはもうあえて自分を証明するためにタイトルは必要ない。そのおかげで、アリサはアリサらしく、自由に、優勝のプレッシャーなど感じずに演技していました。それを感じました。
ーーありがとうございました。またアイスショーで来日される日を楽しみにしています。
<プロフィール>
ネイサン・チェン/1999年、アメリカ・ユタ州ソルトレークシティ生まれ。世界選手権とGPファイナル3連覇、北京五輪金メダルなど数々の偉業を達成してきたフィギュアスケーター。2022年からイェール大学に復学し学業に専念。2024年に卒業し、現在は医学部合格を目指す。
著者プロフィール
野口美惠 (のぐち・よしえ)
元毎日新聞記者。自身のフィギュアスケート経験を生かし、
ルールや技術、選手心理に詳しい記事を執筆している。 日本オリンピック委員会広報としてバンクーバーオリンピックに帯 同。ソチ、平昌、北京オリンピックを取材した。主な著書に『 羽生結弦 王者のメソッド』『チームブライアン』シリーズ、『 伊藤みどりトリプルアクセルの先へ』など。 自身はアダルトスケーターとして樋口豊氏に師事。20 11年国際アダルト競技会ブロンズⅠ部門優勝。
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