検索

【フィギュア】復帰の可能性は? 五輪王者ネイサン・チェンに直撃「医学部出願へ向け本当に忙しい」 現世界王者・女王への思いも明かす (3ページ目)

  • 野口美恵●取材・文 text by Noguchi Yoshie

【彼に僕が何か言えるとしたら...】

ーー全米王者、そして世界王者(2024年、2025年世界選手権連覇)になったマリニン選手に、何かアドバイスはありますか?

 僕たちはみんなそれぞれの道、それぞれの旅路を持っていると思います。だから、僕がこんな経験をしたという話をすることはできますが、それが彼に当てはまるかどうかはわかりません。イリヤは、明らかに世界選手権ですばらしいプログラムを披露できています。そしてここ2、3年、すばらしい成長を遂げている。だから僕が言えるとしたら、彼がやっていることが何であれ、それをやり続けること。明らかにいいチームを持っているのだから、周りの人たちを信頼し続けることです。

ーーチェンさんは、世界最高得点を更新しただけでなく、プログラムの表現も含めてひとつの金字塔を打ち立てた存在。そういった意味で、マリニン選手が世界タイトルだけでなく、自分のアイデンティティを探すとしたら何があると思いますか?

 現時点では、何かを求めて全面的に変更する必要はないと思います。純粋に彼が成し遂げてきたことを見れば、全米王者であり、世界選手権を連覇し、GPファイナルも連覇している。その肩書きと同時に、スケートのすべての側面での成熟もしていると思います。

ーーとくにこの2、3年で何が成長したと思いますか?

 フィギュアスケートは、単にジャンプを降りればいい競技ではないことは、皆さんもイリヤも理解していると思います。競技では、さまざまな側面が重要になることを、彼はよくわかっています。演技だけでなく、息を呑むようなジャンプを跳ぶことも必要です。たとえば、大きなジャンプを跳ぶと加点がつく。どうやって得点が構成されていくのかを考え、研究すれば、高得点を取ることができるんです。伝説的なスコアのためには、その研究は避けられないと思います。

ーーマリニン選手はGPファイナル以降、「ジャンプ7本すべて4回転」に挑戦していますが、こんな挑戦を見る日が来ると思っていましたか?

 正直なところ、今の採点方法の傾向からすると、そんなことをするとは思いませんでした。そして、こんなに早く来るとは思いませんでした。ただ近い将来、もっと多くの人がやるようになっていくでしょう。記録や伝説というのはそういうものです。

3 / 4

キーワード

このページのトップに戻る