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羽生結弦が『notte stellata』に込めた鎮魂の祈り 野村萬斎と創造した新世界にどよめき (4ページ目)

  • スポルティーバ編集部●取材・文 text by Sportiva
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【"職業、羽生結弦"が背負うもの】

 初日にもかかわらず、「全体力と気力を使い果たした」との冒頭の言葉どおり、今回の『notte stellata』へかける並々ならぬ思いが、羽生から出演スケーター、そして萬斎へと伝播している。

「"こんなにやりきってくれるんだ"っていうぐらい、他のスケーターたちも出しきってくださって。あの野村萬斎を、息が切れるほど走らせる人はたぶんいないと思うので。本当に恐れ多いのですが、萬斎さんも全力で『SEIMEI』を演じきってくださっていて......。応えてくださる萬斎さんの力量、器みたいなものに、またあらためて尊敬しています」

 全身全霊を注ぎ込むショーに羽生は、こんな思いを込めている。

「(観客が)立って拍手や声援を送ってくださる姿を見て、"この場で生きてらっしゃるんだな"ということを『notte stellata』だからこそ感じられて。僕らが震災の時に立ち上がっていけたように、その絆みたいなものがどんどん広がっていってくれたらうれしいなという気持ちでいます」

「職業、羽生結弦」。自身を「職業、野村萬斎」と名乗る萬斎は、羽生についてもそう呼んだ。「彼なりのなにか非常に大きなものを背負っている」「ますますなにか彼のできることを成し遂げていくのだろう」とも、共演のなかで萬斎は感じたという。

 それぞれの道を極めるふたりだからこそお互いに感じ取る"なにか"がある。夢のコラボレーションは3月9日、いよいよ真の千秋楽を迎える。

(文中敬称略)

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