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高橋大輔プロデュース『滑走屋』は新たなフェーズへ 村元哉中、村上佳菜子、友野一希らも進化 (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki

【それぞれに見せ場をつくる出演スケーターたち】

 前回に続いて今回も、村元哉中はソロナンバーで怪演を見せている。ギリシャ神話のヴィーナスや北欧神話のフレイヤのような美と愛と放蕩と勇敢さをないまぜにした妖艶さというのか。全身のそれぞれの部位、たとえば肩甲骨や指がひとつの生命を宿したように艶かしく動く。そして、肉体的に激しいダンスなのに、色気を失わない。むしろ、ほのかに湧き上がってくる。

 やはり、村元は高橋と同じくシングル、アイスダンスという、「滑る」表現を徹底してきた厚みが違う。

 友野一希もトップスケーターの風格を見せた。リンクの上で月影のようなシルエットを揺らし、ピアノの音に合わせ、ステップを踏んでいる。トーループやアクセルなどジャンプも入れたが、それ以上にブレードが氷を擦る音までも演出のようなスケーティングが映えていた。

 一方、村上は大人っぽいナンバーを滑った。

「私のソロは、前回と曲を変えて滑っています。30歳になって、10代、20代から殻を破ったチャレンジで。フルで陸でのダンスの振り付けをしてもらい、足の動きや運びなど難しかったですが、そういうのをやりたかったので!」

 村上は明るく語ったが、ダンサーの鈴木ゆまが演出したダンス要素がふんだんに取り入れられていた。

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