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宇野昌磨が成績より大切にした「小さい頃からの憧れ」 現役ラストダンスの自分は「幸せそう」 (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 坂本 清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

【成功も失敗も等しく宝物】

「(ラストシーズンは)1年を通して試合に出て、競技者として結果も望むようにもなったのは、熱いものを感じさせてくれた後輩たちに感謝で。全力を注げる場所があるのは本当によかったし、楽しかったです。成功と失敗、両方とも等しく、どちらも宝物のような時間でした」

 この言葉に、心が動かない後輩がいるだろうか。

 宇野は、浅田真央に憧れてスケートに打ち込むようになって、高橋大輔のスケートに希望を感じ、自らのスケートを極めてきた。それはフィギュアスケート界に流れる命脈の継承と言えるだろう。その生き様も、次の時代の指標になるはずだ。

「僕たちアスリートは、ひとつのことに全力を注いできた人間で、そこから変わるのは本当に難しいです。でも、ひとつのことに全力で臨む熱量があるからこそ、トップアスリートになれるもので。自分も、このタイミングで新しい道を探すのだと思っています」

 それはアスリートとして戦い続けた宇野が、プロスケーターとして違う世界へと旅立つ自分自身へ贈った言葉だったのかもしれない。

後編<宇野昌磨が引退「フィギュアスケートは性に合っていた」内向的な少年から笑顔の王者へ>を読む

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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