高橋大輔が魅せたエンターテイナーの才 ダブルアクセルも披露し鍛え上げた肉体は芸術的 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【不可能を可能にしてきた軌跡】

 高橋はいつも過去と今を結びつけ、未来をつくり出す。たとえば、アイスダンサーとしてのラストシーズンに『オペラ座の怪人』で全日本選手権優勝を果たしたが、それはシングル時代、2006−2007シーズンの世界選手権で初めてメダルを勝ちとった時のプログラムだった。

「(ミュージカルで一番印象的なのは)『オペラ座の怪人』で。何度見ても見入ってしまう。大好きで、自分にとっても特別なプログラムで。いつかスケート(の舞台など)で世界観を表現できれば最高だなと。難しいとは思いますけど、できたらいいなって常々思っています」

 高橋はそう言うが、新たなバージョンの『オペラ座の怪人』も十分あり得るだろう。彼はそうやって不可能と思われたものを可能にしてきた。

 シングル時代には、五輪メダル、世界選手権とグランプリファイナル優勝を日本男子として初めてもたらし、世界のフィギュアスケートの潮流を変えている。そして、2018年には4年ぶりに現役復帰を遂げ、全日本選手権2位の快挙。

 さらに2020年からはアイスダンスに転向。関係者の下馬評をひっくり返し、世界の舞台で日本勢歴代最高のスコアをたたき出したのである。

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