高橋大輔が魅せたエンターテイナーの才 ダブルアクセルも披露し鍛え上げた肉体は芸術的

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【表現の幅を広げるエンターテイナー】

 1月19日、東京・ダイドードリンコアイスアリーナでアイスショー『プリンスアイスワールド』東京公演が開幕した。ミュージカルとの融合で、ブロードウェイの世界を氷上に再現し、フィギュアスケートの可能性を示している。

『Birds/MAKEBA』を披露した村元哉中(右)と高橋大輔『Birds/MAKEBA』を披露した村元哉中(右)と高橋大輔この記事に関連する写真を見る「大人数でみんなと絡みながらやっていくというのは、むちゃくちゃテンションが上がります」

 高橋大輔(37歳)はそう語っていたが、表現者の幅をさらに広げていたーー。

 ショー前半のトリを飾る『Welcome to the Moulin Rouge Medley』のナンバーで、高橋は颯爽と登場している。

 2005−2006シーズン、シングル時代に用いていた『ロクサーヌのタンゴ』に乗って、集まった観客を魅了。宣言していたとおりにダブルアクセルも成功させ、場内を盛り上げた。

「ソロで滑っていた時は、情景を思い浮かべながら滑っていたんですが。今回は前半に女性、後半には男性と絡んで、最後にみんながバッと出てくるのは同じ楽曲でも新鮮で。よりいっそうパワーを感じられて、すごく楽しかったですね」

 高橋はそう振り返ったが、20年近く前に滑っていた曲を違った形に昇華させるところに、スケーターとしての歴史と技量を感じさせた。

 終盤、高橋がひざをついて右手を氷にかざすと、氷が割れるような照明の演出になっている。音楽と光と一体になれるのは、エンターテイナーの才能だろう。

 そこから華麗なステップを踏むたび、ひび割れは大きくなって、彼が手をかざすと、一斉に他のスケーターが飛び出す。曲の盛り上がりと重なる演出で、迫力を感じさせた。

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