高橋大輔が魅せたエンターテイナーの才 ダブルアクセルも披露し鍛え上げた肉体は芸術的 (4ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【雑誌の撮影で感じた経験値】

ーー雑誌『anan』で、アイスダンスでカップルを組んだ村元さんとふたりで表紙を飾りましたが、その感慨を教えてください。

 その質問に、高橋は「難しいですね」とうなりながら、丁寧にこう答えている。

「(昨年5月の現役引退発表の)3シーズン前、哉中ちゃんと一緒にふたりでの撮影があったんですけど、その時はすごくぎこちなかったんです。それが今回は自然に、お互い何も言わずにスムーズにポーズがとれて。3年でいろんな経験をたくさんしてこられたんだなと、あらためて思いました」

 ふたりの結成会見があった2019年9月、のちに「かなだい」と親しまれるふたりは初々しかった。「何かポーズをとってください!」というカメラマンの要求に対し、高橋はどぎまぎ。すでにアイスダンスの第一人者だった村元にエスコートされていた。

 それが現役引退会見のフォトセッションでは、村元と息を合わせたリズムダンス『コンガ』のポーズを堂々と決め、動き出しそうな躍動感があった。

 また、先日の『プリンスアイスワールド』公開練習後の取材では、自ら率先して盟友の小林宏一をリード。背筋の筋肉が美しくカーブを描き、太ももやふくらはぎの筋肉が上品に隆起し、芸術的ですらあった。

 高橋は今も成長のアルバムを残し続ける。今回のアイスショーもひとつの転機か。探究者は模索し、生まれ変わる。

 アイスショー『プリンスアイスワールド』東京公演は1月21日まで開催されている。

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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