宇野昌磨か鍵山優真か...無良崇人が展望する全日本フィギュア 一番化けている選手は? (2ページ目)
【佐藤駿は「一番化けた選手」】
ーーGPファイナルに進出した選手以外だといかがでしょうか?
僕のなかで、佐藤駿選手は一番化けた選手だと思っています。今シーズンは海外へ練習に行ってプログラムもつくって、意識が変わったなというのが第一印象です。今まではジャンプで頭がいっぱいになっていて、もうちょっと表現を意識してくれればなと思うことはあったんですけど、今シーズンのプログラムを見て、「やればできるんじゃん」って正直思いました(笑)。ジャンプがハマる・ハマらないはあると思うんですけど、そこだけじゃなくなったのは大きい。
東京選手権で大技・4回転ルッツを解禁した佐藤駿この記事に関連する写真を見る 山本草太選手は伸びやかなスケートや彼が持っている雰囲気をプログラムのなかでも出せているので、あとはジャンプを決めるだけ。彼の持つ力やペースがかみ合ってくれば問題ないと思います。年齢を重ねていくと個性や味が濃くなってくるなと感じているので、精一杯やりきってほしいですね。
友野一希選手は今季、ハマっているようでハマりきってない部分があると思いますが、彼は強い気持ちと最後までやりきれる体力がある。僕なんかは25歳くらいの時は体力的になかなか難しいものがあったから(笑)。山本選手にしても友野選手にしても、ジャンプの調整ができれば勝負できる。全日本はくすぶって終わっちゃうのが一番悔しいと思うので、自分が持っている武器を全部出しきってほしいです。
全日本フィギュアの見どころを語った無良崇人さんこの記事に関連する写真を見るーー若い世代で注目している選手は?
ジュニアGPファイナル優勝の中田璃士(りお)選手ですね。ファイナルでのすばらしいフリーの勢いのまま、全日本に乗り込んで来るんじゃないかなと。
男子はそれぞれ個性や武器が違っていて、見ていて面白い。あの舞台でどれだけ力を出しきれるか。試合前の調子のよし悪しって、僕は意外と関係ないなと思っていて。僕なんか最後のシーズンは本番でしか4回転跳べていなかったですし(笑)。ただ、自信を持って試合に臨める安心材料としては大きい。どの選手も緊張する場面で自分をコントロールし、力を出しきってほしいですね。
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【プロフィール】
無良崇人 むら たかひと
1991年、千葉県生まれ。フィギュアスケートのコーチをしていた両親の影響で、2歳からスケートを始める。現役時代には、GPシリーズのフランス杯やスケートカナダで優勝、2014年四大陸選手権を制覇。全日本選手権で3位5回。2018年に競技を引退し、現在はプロスケーターやコーチ、解説者として活躍している。
著者プロフィール
山本夢子 (やまもと・ゆめこ)
スポーツライター。青森県八戸市出身。5歳からフィギュアスケートを習い始め、高校卒業まで選手として各大会に参加。その後、渡米し大学を卒業、就職。帰国後は、コピーライターとして広告制作に携わる。2005年からフリーランス。現在はライターとしてフィギュアスケートの専門誌を中心に執筆中。
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