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坂本花織の葛藤と成長「アクセルも4回転もないのになんで世界女王やねんって言われて...」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【「ちょっと成長したな自分」】

 試合後の夜はなかなか寝つけず、フリーの演技を見直したあとに、最下位に終わった昨年のGPファイナルのフリーも見直したという。昨年はSP1位発進をしながら、フリーは116.70点と大きく崩れた。

「(前回は)絶望しすぎて。気づいたら終わっているみたいな状況で、内容も点数も覚えてなかったし、見返しもしてなかったんです。それを久々に見返したら、アクセルを跳ぶ前につまずいているし、ジャンプも不安定で地に足がついていない。こんなボロボロやったんや、という感じでびっくりしました。でもそのあとにもう1回、今回のフリーを見たら、成長したな自分、と思って」と笑う。

 2022年の北京五輪後の世界選手権で坂本は、ロシア勢不在のなか、「勝って当然」と思われるプレッシャーのもとで優勝した。しかも1位でなければ翌年の日本の出場枠が3から2に減る危機もあった。

 しかしその達成感で次への目標を見失った昨季、出足が遅れてGPファイナルは惨敗。その苦境から目を覚ますと、全日本と世界選手権の連覇を達成し、周囲から期待されるなかできっちり勝ちきる経験も積んだ。

 今季のオフは強い気持ちも維持でき、全日本と世界選手権の3連覇を口にしていたが、その前のGPシリーズ3連勝も果たしておきたいステップだった。勝ちにいって勝ちきる経験を積み重ねるためだ。

「やっぱり最終滑走はまだイヤですね。いまだに待っていられなくて吐きそうになる」と、プレッシャーとも戦っている。

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