宇野昌磨の新境地 師匠の「魔術」や高橋大輔の滑りを新プログラムに落とし込む

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

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【新フリーは抒情的】

 10月7日、さいたまスーパーアリーナ。『カーニバル・オン・アイス』で、宇野昌磨(25歳/トヨタ自動車)は、2023−2024シーズンの新しいフリープログラムを発表している。

 ショーの大トリで登場し、黒を基調にカーキが入り交ざったような衣装で、散りばめられたストーンを輝かせた。黒くストレートの前髪が、風を受けてふわりと上がった。

 曲は『Timelapse』『Spiegel im Spiegel』という2曲をアレンジしたもので、静ひつな幻想世界といったテイストか。内面が湧き出るような旋律で、にぎやかで活発というよりは、ゆるやかに抒情(じょじょう)的に心が満ちる。

 表現において難易度の高い曲であることは間違いない。スローな動き、動いているが止まっているようなところから疾走するなど、肉体的なバランスが随所で求められる。

 そこに生み出される緩急は特別な感覚で、それがイコール芸術になるはずだ。

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