『ワンピース・オン・アイス』ルフィ役・宇野昌磨は作品のすごさを海外でも実感。好きなエピソードを語る (2ページ目)
――そして『ワンピース』と言えば『悪魔の実』ですが、食べてみたい悪魔の実はどれですか?
宇野 んーーー。どれも便利そうだなとは思うんですけど、何の実がいい、というよりはキャラも相まって好きなのがトラファルガー・ローなので、『オペオペの実』は......僕が有効活用できるかどうかはさておき(笑)、物を移動させられるのは万能そうだなと思います。でもやっぱりローが好きなので、使っている人がかっこいいからというのはあります(笑)。あと、僕はあの能力者たちのなかで、悪魔の実の能力を持たずに戦っている人たちも好きですね。シャンクスも好きですし、ゾロとかサンジとか。あれだけチート級の能力を持っている人たちがいるなかで、対等に戦っていけるのってすごいなと思います。
そして、最近の『ワンピース』もおもしろいですね。カイドウが出てくるワノ国編を見ているんですけど、(作品の)歴史が長すぎて、初期の頃と比べると変化がすごい。それから、ドレスローザ編も熱心に見ていたかも。ここでもローが出ていて、そこが好きだからローが好きなのか、ローが出ているからそこが好きなのかはわかんないんですけど(笑)。
――宇野選手が演じるルフィと言えば「ギア」を入れるシーンがありますが、宇野選手がフィギュアスケートでギアを入れる瞬間はどんな時ですか?
宇野 スケートの練習をしている時かな。別にギアを入れているつもりはないんですけど、振り返ってみると自然と。完全に頭のなかを自分のスケートの向上だけにすることができるので。もちろんできない日もあるんですけど。ジャンプを跳びに行く時は、跳ぶ前に頭のなかで自分のジャンプを再現して、どういうイメージでどういうジャンプを跳ぶとか、どこに気をつけるとかを考えるんです。失敗をしても、ここがこんな感じだったから次はこうしてみようとか、頭をクリアにして集中した練習ができることが多いので、そこが僕の強みかなと思いますね。技術的にここが強みというのはないんですけど、練習に対してやりたいと思ったことへの集中力というのは少し自信を持っています。
――技術的な強みはないとおっしゃいましたが、たくさんあるように感じます。その宇野選手の技術をこのショーでどう活かしていこうと思っていますか?
宇野 僕はよく取材で「あなたの強みは何ですか」と聞かれて「ないです」と答えるんですけど、逆にあまり苦手なこともないんです。すべてを満遍なくこなすことができたからこそ、今この位置(世界選手権2連覇、世界ランキング1位)に立っていると思っていて。だから今回のアイスショーでもどんなことを求められるかは現段階ではまだわかりませんが、それが自分にできない新しいことだったとしても、本番まで1カ月という時間(練習期間)を与えられているので、それを自分のものにできればそれが僕の強みなのかなと思っていますね。
――今回の『ワンピース・オン・アイス』では宇野選手はルフィ役ですが、他のキャストを聞いた時、「うわーピッタリだな」と思ったのはどのキャラクターですか?
宇野 ボン・クレー(本郷理華)とウソップ(織田信成)ですね。あと、他の人にはできないというのではビビ(本田真凜)とか。
キャストを決めるのは難しいですよね。『ワンピース』は、すらりとした体型の女性キャラクターも多いですが、スケーターで高身長ってあまりいないじゃないですか。浅田舞ちゃんとか安藤美姫ちゃんは身長もあるけれど、今の世代は小柄な選手が多いから難しいだろうなとは思っていました。それに、このショーをやるには長時間のリハーサルが必要なので、よくこれだけ(トップスケーターが)集まってくれたなと思いましたね。それはきっと『ワンピース』という作品だから。僕もそのひとりですし、他の選手もきっとそういう思いで出演を決めてくれたんだと思います。
後編に続く>>描いているアイスショーの夢「現役を辞めたあとにやるとしたら...」
Profile
宇野昌磨(うの・しょうま)
フィギュアスケーター。1997年12月17日生まれ。愛知県名古屋市出身。5歳の頃からスケートをはじめ、2016年から2019年の全日本選手権で4連覇を果たす。2018年平昌五輪銀メダリスト、2019年四大陸選手権優勝、2022年北京五輪銅メダリスト、世界選手権優勝。2022-2023年シーズンは、スケートカナダ、NHK杯、グランプリファイナル、全日本選手権すべてで優勝。世界選手権も優勝し、日本男子初の2連覇を達成した。
『ワンピース・オン・アイス~エピソード・オブ・アラバスタ~』
アニメ『ワンピース』が史上初のアイスショー化。日本屈指のスケーターが集結し、アニメの声優たちのセリフに合わせ、フィギュアスケートならではのスピード感、躍動感で『ワンピース』の世界を表現。光やプロジェクションマッピングの演出によるスペクタクルなアイスショー。8月11~13日(横浜)、9月2~3日(名古屋)の全国2カ所で全10回公演。
著者プロフィール
山本夢子 (やまもと・ゆめこ)
スポーツライター。青森県八戸市出身。5歳からフィギュアスケートを習い始め、高校卒業まで選手として各大会に参加。その後、渡米し大学を卒業、就職。帰国後は、コピーライターとして広告制作に携わる。2005年からフリーランス。現在はライターとしてフィギュアスケートの専門誌を中心に執筆中。
【写真・画像】男の色気漂う、ルフィ役・宇野昌磨フォトギャラリー(全15枚)
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