「羽生結弦くんが言っていたように、プロ活動にはいろんな形があっていい」。日本女子の第一人者、佐藤有香さんが「プロの世界」を語る (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha

【フィギュアスケートが飽きられないために】

 それはまさに羽生結弦さんがプロ転向後初となる単独アイスショー『プロローグ』を開催したことにつながっているのではないだろうか。プロスケーターとして何が滑りたいかという強い思いがレベルアップを促す原動力になる。プロスケーターになるために必要なことは何なのだろうか。

「プロとしてやっていくなら、その1公演を見に来る観客のためにどのような状況でも自分のベストのパフォーマンスを見せるという心構えがないとできないと思います。プロ活動には、ショーをやったり、解説をやったり、講演会に出たり、インタビューを受けたり、セミナーで教えたりと、いろいろなものがありますが、そのなかでコンディションを維持していくことがカギになってくると思います。結局、現役時代に培った健康管理とかトレーニングの仕方とかテクニックとかが全部が跳ね返ってくるわけです。だから現役時代に練習を積み重ねたことが非常に大事ですし、どんなシチュエーションでもやり遂げられる応用性も非常に大事です。

 たくさんのスケーターがいろいろなことをやるのはとてもいいことだと思います。フィギュアスケートがどうしたら継続して盛り上がったいくか、発展していくかは、フィギュアスケートをいかに新鮮にしていくかということにかかっていると思います。これだけ人気スポーツになったがために、飽きられてしまうかもしれないじゃないですか。

 いろいろなスケーターがいろいろなことをしていくには、ある意味、ある程度のライバル意識と競争心が必要だと思うんですね。『なるべくいいものを見せたい』というのがあって、お互いに触発するから、もっともっといいものが見られる。それが理想的だと思います。

 私がアメリカに渡って一番感じたことなんですけど、ショーの全盛期で一番よかったなと思うのは、当時各地をツアーで回っていた時の仲間は家族のように仲がいいんですけど、その一方ですごくライバル意識があって、何十回という同じショーでも毎回が真剣勝負なんです。

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