鍵山優真が過去最低順位で味わった悔しさ。それでも「全日本に出たことに関して後悔はない」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【得点源のジャンプでミスが続いたフリー】

 2日後のフリーで鍵山は、新しい挑戦として構成に組み込もうとしていた4回転フリップを回避。4回転ジャンプはサルコウ2本を入れた。SPでミスが出たからこそ、自信を持っている構成でノーミスの演技をしたいと考えたからだ。

 だが、最初の4回転サルコウは転倒するスタートになった。さらに次の4回転サルコウも手をつく着氷で連続ジャンプにできなかった。

「最初の4回転サルコウで転ぶとは想定していなかったので、だんだん自分の気持ちに焦りが出てしまって。アクセルは2本とも降りはしましたが、自分が納得するような形では全然なかった。そこが、点数が伸びなかった理由だと思います」

 4本目のトリプルアクセルは4分の1回転不足の判定で0.11点の減点。次のトリプルアクセルもGOE(出来ばえ点)は0点の判定が最も多かった。さらに次の3回転ルッツからの連続ジャンプは最後のサルコウが2回転にとどまった。

 それでも最後の3回転フリップを降りたあとのステップシークエンスに入ると徐々にスピードとキレを取り戻し鍵山らしい滑りに。

 最後のふたつのスピンは力感を感じさせた。演技構成点はSPと同じく宇野に次ぐ2位の得点だったが、得点源である4回転ジャンプ2本のミスと、トリプルアクセル2本で加点を稼げなかったために、8位の156.44点。合計は237.83点で8位という結果に終わった。

「フリーの4分間は左足も気にならなくて目いっぱい滑れました。でも練習からなかなか思いきりできない状態で、公式練習も1日1回で35分間という少ない時間のなかで調整していく難しさをすごく感じました。

 フリーは特にジャンプの数が少し多いので、短い時間で自分の足とどう向き合いながら調整していくかというのがうまくいかなかった部分もあって、それが演技のミスに響いてきたのではないかと思います」

 鍵山は冷静な表情で「全日本の3日間の試合を通して、自分が今やるべきことが明確にわかってきました」とも話した。

「この会場に来た時はみんなと滑れるのがすごく楽しみという感じだったんですが、こうやってショートとフリーを通してみると、本当にまだまだだなと思う。試合の調子としては、一番元気な頃に比べると30%にもいかなかったんじゃないかと感じる演技。もっともっとコンディションも含めて成長していくべきだなと感じました」

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