世界王者・宇野昌磨か、「4回転の神」イリア・マリニンか...はたして勝者は? GPファイナル男子の熾烈な戦い (4ページ目)
【熾烈な表彰台争い】
日本勢4人と、マリニン、そしてスケートアメリカ4位、イギリス大会優勝のダニエル・グラスル(イタリア)が出場するGPファイナル男子。
今季の得点を見れば、唯一280点台に乗せているマリニンがリードという状況だが、宇野もNHK杯でSP、フリーともミスがありながら279.76点を獲得していて僅差の戦い。
マリニンもSPでミスをしなければ290点台に乗せる実力を持っているが、宇野は昨季の世界選手権も重圧のなか、312.48点を出して優勝とビッグゲームでの実績はある。競り合いにはなるだろうが、実績を考えれば宇野が優勝候補の一番手にいると言っていいだろう。
だが、ふたりに続く表彰台争いとなると、熾烈なバトルだ。これまでの得点でリードしているのは273.19点を出している三浦で、4回転ループを成功させれば上積みもできる状況。
また、佐藤は苦手意識を持っているSPをノーミスにできれば10点ほど上乗せできて90点台に乗せられる。フリーもフィンランド大会のほぼノーミスの演技のあと、「まだフリップを入れてないので完璧なノーミスとは言えない」と構成の難度を上げる意欲も口にしていた。
グラスルはイギリス大会で264.35点だったが、北京五輪は278.07点を出している選手。山本は、自己最高こそ250点台にとどまっているが、シーズン初戦の中部選手権フリーで冒頭に4回転フリップを入れていたように、少しの苦手意識を持っているトリプルアクセルの克服とともに、難度を上げる構成も視野に入れているはずだ。
GPファイナルに日本勢4人が出場するのは、髙橋大輔が優勝、羽生が2位、小塚崇彦と町田樹が出場した2012年大会以来となる。対マリニンの結果とともに、新王者の宇野に、新勢力の3人がどこまで迫るかも興味深い。
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【著者プロフィール】
折山淑美 おりやま・としみ
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、これまでに夏季・冬季合わせて16回の大会をリポートした。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追っている。
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