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世界王者・宇野昌磨か、「4回転の神」イリア・マリニンか...はたして勝者は? GPファイナル男子の熾烈な戦い (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【勢いに乗る17歳、三浦佳生】

 対して日本勢で最初に勢いを見せたのは、今季からシニアに移行した17歳の三浦佳生(オリエンタルバイオ/目黒日大高)だ。当初、GPシリーズはスケートカナダだけの出場予定だったが、その前週のスケートアメリカの急遽出場が決まった。

 それでも「すごく体が動いていた」と話すSPは、4回転2本を含むジャンプをすべて決め、タイムオーバーの減点はあったが94.96点の1位発進。フリーは、最初の4回転ループは転倒して「最後はスタミナがなくなってスピンが止まりそうだった」という状態だったが、4回転サルコウと4回転トーループを決めてマリニンに次ぐ2位の得点を出し、合計でも自己最高の273.19点で2位に食い込んだ。

 三浦はスケートカナダでもその勢いを保ち、SPはミスをした宇野昌磨(トヨタ自動車)を抑えて1位発進。フリーは6分間練習で靴ひもが切れるアクシデントもあって練習で跳べなかった4回転ループを回避し、3本目の4回転サルコウで転倒。宇野に次ぐ171.23点を出し、合計265.29点で2位と、GPファイナル進出を確実にした。

【ケガを乗り越え再スタートした、山本草太】

 三浦と同じように、11月の第3戦フランス大会のSPで1位発進をし、フリーでも粘って自己最高の257.90点で2位になり、GPファイナルへ前進したのが22歳の山本草太(中京大)だった。

 2015年世界ジュニアは3位で宇野とともに表彰台に上がり、ジュニアGPファイナルも2014年大会は宇野に次ぐ2位、2015年は3位になった山本。だが、シニア移行を翌シーズンに控えていた2016年、世界ジュニア直前に右足首を骨折。そのあとも2度の骨折と3度の手術があり、ケガに苦しんできた。

 シニア初シーズンに出場する予定だったフランス大会で今季、表彰台に上がり、「ここからがスタート」と話した山本。昨季からはSPでは90点台に乗せるまで力を伸ばし、今季はフリーでも4回転サルコウと4回転トーループが安定してきた。

 その成果はGPファイナル進出の可能性がある選手が6人も集結した11月のNHK杯でも発揮された。SPは96.49点の自己最高で1位発進。「順位など余計なことを考えてしまったのがミスにつながった」というフリーは、トリプルアクセルを2本の転倒で崩れて6位にとどまったが、合計ではSPの貯金を生かして257.85点で2位。GPファイナル進出を決めた。

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