紀平梨花がGPファイナル進出を逃すも、晴れやかな笑顔を見せた理由。全日本は「必ずノーミスの演技を」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

「絶対にノーミスを」

 フリーでは、「朝、左足に痛みがあった」と構成を変えてきた。これまで2本跳んでいた3回転ジャンプはサルコウとトーループだったが、左トーをつくトーループの代わりに基礎点が0.70点高いループを2本にした。さらにサルコウも1本は、3連続ジャンプの最後に入れる試みをするとともに、封印していた3回転フリップを後半のジャンプに入れた。

「フリップは練習ではいいジャンプが跳べている感覚がありました。大きい大会で久々に入れるのは難しいかなと思いましたが、いつもどおりだと思って集中して入ったので。跳べないかもしれないというジャンプは入れてないし、絶対にノーミスをと思って滑りました」

 冒頭のジャンプをこれまでのように連続ジャンプにするのではなく、単発の3回転サルコウにして滑り出した紀平は、次のダブルアクセル+1オイラー+3回転サルコウを1.17点の加点の出来にすると、そのあとの2本の3回転ループもしっかり決め、後半最初の3回転フリップは0.91点の加点をとるジャンプに。終盤のしなやかな滑りを見せたステップシークエンスはレベル3だったが、スピンはすべてレベル4とした。

 演技終了後には両手を振り下ろしてうれしそうな表情を見せた紀平は、ノーミスの演技でスケートカナダを3.30点上回る128.36点を獲得。合計は192.43点。三原が優勝してヘンドリックスは2位でGPファイナル進出を決め、河辺愛菜(中京大中京高)が197.41点で3位に入り、紀平は続く4位だった。

「構成を変更しても、1本ずつ集中して思いどおりのジャンプが跳べました。点数についてはまだ悔しい思いもあるので、もっと高い点数を出せるようにジャンプのレベルも上げていきたいです。ここまで一歩ずつ上がってこられたから、これからも全日本選手権に向けて計画的に構成を組んで練習をたくさん積み、高い点数をとれる構成ができるようになればいいと思います」

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