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坂本花織、大舞台の裏側は「正直、だいぶ疲れがきていた」。それでもノーミスで銅メダル「涙が止まらなかった」 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

フリー後、笑顔を見せる坂本と中野園子コーチフリー後、笑顔を見せる坂本と中野園子コーチこの記事に関連する写真を見る

【自ら選んだ、挑戦をやめる挑戦】

 ロシア勢が4回転を跳ぶ時代になり、日本でも多くの選手たちが高難度ジャンプに挑戦するなかで、坂本自身もトリプルアクセルや4回転トーループに挑戦した時期もあった。だが、北京五輪シーズンへ向け、高難度ジャンプへの挑戦をやめると決めたのは本人だった。五輪までは3回転をすべてしっかり跳べるようにし、それができるようになったあとで4回転やトリプルアクセルに挑もう、と。

 そのなかで、SPとフリーでは基礎点が1.1倍になる演技後半に連続ジャンプを入れたり、苦手にしていた3回転ルッツをSPに組み入れたり、得点を細かく上積みする努力をした。その成果が五輪で大きく花開いたのだ。

「大学に入学する頃(2019年)は、一番調子が悪かった時だったので、大学を卒業したら絶対に引退をしてやると思っていたけど、今年3年生になるのであと1年しか残っていない。まだまだジャンプを跳べているのでやめる必要はないなと感じているし、4年後でもまだ25歳だなとも思っています」

 こう話す坂本に中野コーチは、「これで難しいジャンプも頑張って練習するだろうから。それを入れられるようになれば4年後はもっと上を狙えると思う」と期待する。

 試合翌朝のメダリスト会見のフォトセッションでは、まだもらっていない銅メダルの代わりに、カメラマンの要望があってマスコットセレモニーでもらった公式マスコットの「ビン・ドゥンドゥン」を頭の上に乗せて大笑いしながら写真に収まっていた坂本。誰からも愛される彼女だからこそ、その銅メダル獲得を数多くの人から祝福されていた。

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