坂本花織、大舞台の裏側は「正直、だいぶ疲れがきていた」。それでもノーミスで銅メダル「涙が止まらなかった」 (3ページ目)
「3位以内の選手が入るグリーンルームに入って最初はシェルバコワを見たけど、『さすがだな』と思うような演技だったので。その時点で自分が3位になって、4位になった(樋口)新葉がグリーンルームを出ていく時に、『すぐ行くね』と言ってたんです(笑)。そうしたらすぐには出ていけなくなって『ビックリ!』みたいな」
シェルバコワは昨季の世界選手権優勝時より4回転フリップを1本増やした構成。フリップを2本ともきれいに跳ぶと、後半の3回転ルッツ+3回転ループや、3回転フリップからの3連続ジャンプもしっかり決めて175.75点を獲得。合計を255.95点にして、SPで彼女を1.96点リードしているワリエワにプレッシャーをかけた。
【ワリエワの演技は「見るのがつらかった」】
最終滑走のワリエワは、これまでどおりなら確実にノーミスの滑りをしてくるはずだった。だが、今回はドーピング騒動の中心人物となり、SPでも最初のトリプルアクセルで軸が大きく動く珍しいミスをしていた。そんな15歳は重圧には耐えられなかった。最初の4回転サルコウは4分の1の回転不足で着氷を乱すと、次のトリプルアクセルはアンダーローテーションで手をつくミス。次の4回転トーループもステップアウトになり、無理をしてつけた3回転サルコウがダウングレードになり転倒とミスを重ねた。
「正直、彼女の演技を見るのがつらかったですね。団体の時の勢いのイメージがあったので、きょうは、どうしたんだろうという感じで見ていました」
坂本はワリエワを優れた選手だと認めているからこそ、ボロボロになっているような演技を見たくなかったのだ。結局、ワリエワは後半にもミスをして141.93点しか取れずフリーは5位。合計は224.09点にとどまる結果になり、シェルバコワとトゥルソワに次ぐ坂本の3位が決定した。
「ワリエワ選手の点数が出た時はもう、自分が何点出していたかも忘れていたんです。それで、いったいこれは私が何位になるんだろう、と思っていたら、画面に出た3位のところに私に名前があったのでビックリして、それから涙が止まらなくなりました」
3 / 4