坂本花織、大舞台の裏側は「正直、だいぶ疲れがきていた」。それでもノーミスで銅メダル「涙が止まらなかった」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

【「びっくり!」だった銅メダル】

 トゥルソワは3本目の4回転トーループと次のダブルアクセル+3回転トーループで着氷を乱したが、フリップとサルコウ、ルッツ2本の4本の4回転はしっかり着氷して177.13点と高得点を獲得し、合計を251.73点にした。

 それでも、坂本は気にしなかった。相手うんぬんよりも、自分がノーミスの演技をすることだけを意識できていたからだ。

フリー演技の坂本。ノーミスで終えたフリー演技の坂本。ノーミスで終えたこの記事に関連する写真を見る 最初のダブルアクセルは、SPと同じようにGOE(出来ばえ点)加点の4〜5点が並ぶジャンプだったが、課題にしていた3回転ルッツはノット・クリア・エッジ(明確でない踏み切り)と判定される。丁寧に要素をこなそうとする姿勢は見えたが、中盤に入る頃からは全体的にはスピードがなく硬さが目立ち、滑りにも若干伸びのないような演技になった。それでも後半の連続ジャンプ2本を含めてミスなくこなし、きつそうな顔をしながらも、手応えのある雰囲気で演技を終えていた。

「きょうはだいぶセーブをしてるなって滑りながら感じていました。丁寧にと思うのもあったけど、正直、だいぶ疲れがきているので。最後までもたせようと思ったら、体が勝手にセーブしちゃっていたみたいで......。練習でも早朝の体が動かない時は、"どんな時でもノーミスでやろう"という気持ちからセーブしてしまっている。今回も途中から『朝の練習のような感じだな』と思っていました。冷静にやってノーミスの滑りができたのはよかったけど、その分、大きさを見せることができなかったのはもうちょっとかなと思います」

 演技後にミックスゾーンに来た途端に両手を上げて「やったー」と叫び、拍手を返されると「ありがとうございます」と明るく言った坂本。自分の演技が終わった時点では2位だったが、次にシェルバコワとワリエワが控えているなかでは、結果は4位だろうと思っていた。それでも、団体戦のフリーから3本続けてノーミスの演技ができ、目標にしていた平昌五輪の6位を上回る結果を残せたことに満足していた。

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