記者が現地で感じている羽生結弦の調子のよさ。フリーでの巻き返しへ「演技に関しては自信がある」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

【フリーで意地の逆襲なるか】

 次の4回転トーループ+3回転トーループは練習どおりの細い軸のジャンプで、ジャッジがGOE(出来ばえ点)で4〜5点を並べる4.07点の高い加点。演技後半のトリプルアクセルも2.63点の加点で、スピンとステップはすべてレベル4。特に終盤のステップとコンビネーションスピンは、全ジャッジが4〜5点を並べるほど高い評価だった。

 ただ、冒頭のジャンプは、1回転サルコウになって0点。それが響いて95.15点の8位発進という結果になった。それでも、羽生は「95点を出してくれたのはすごくありがたいと思います。それだけ他の要素のクオリティを高くできたのは自分をほめてあげたい。でも、正直に言って、何か僕が悪いことをしたからこうなってしまったのかなという感じで。そういうことしか考えられませんね」と苦笑する。

4回転サルコウのハプニング以外は完璧に演じた羽生4回転サルコウのハプニング以外は完璧に演じた羽生この記事に関連する写真を見る 昨年12月の全日本選手権で111.31点を出した時の4回転サルコウは、GOE加点を加えて14.27点だった。その分を単純に加算すれば109.42点になり、少し抑えられた演技構成点が全日本と同じだったら、合計は111.37点になる計算。不可抗力と言えるミスはあったものの、羽生は自分の力を存分に発揮する演技はしていたのだ。

 そんな羽生に対して、ネイサン・チェン(アメリカ)は、冒頭の4回転フリップは4.40点の加点で、後半の4回転ルッツ+3回転トーループは3.94点の加算とミスのない滑りをし、羽生が2020年四大陸選手権で出した世界最高得点を2.15点更新する113.97点を叩き出してトップに立った。

 さらに2位には自己最高108.12点の演技をした鍵山優真が入った。鍵山は「団体戦のフリーの高得点が自信になったというより、いい演技、いいジャンプを跳べたことで、五輪で自分もできるんだぞという自信になり、今日まで維持できた」と語る。そして、3位は宇野昌磨。4回転トーループ+3回転トーループで手をつくミスをしながらも、団体戦での自己最高得点を上回る105.90点。宇野は「4回転フリップとトリプルアクセルが団体戦よりもすごくいいジャンプだったのでGOE加点もつき、それがミスを補ってくれたと思う」と話していた。

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