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全日本選手権で王者・羽生結弦に宇野昌磨、鍵山優真はどこまで迫れるか。ポイントは「300点超え」 (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【世界トップへ高難度に挑む宇野】

 一方、宇野は旧ルールでは319.84点を出していて、新ルールでも300点台は当然という実力の持ち主。2019−2020年シーズンから低迷時期もあったが、2019年2月の四大陸選手権のフリーでは4回転2種類3本の構成で終盤にわずかなミスがありながらも197.36点を出し、200点台に乗せる地力を証明していた。また、SPも大スランプから抜け出し始めた2019年の全日本選手権は、連続ジャンプが4回転+2回転にとどまりながらも105.71点を出し、300点台を出せる状態だった。

 今季は再び世界のトップを目指すことを意識し、フリーは2016−2017年シーズンに跳んでいた4回転ループや4回転サルコウなど、今の自分が跳べる4回転をすべて入れた4種類5本の構成に挑戦している。

 4回転5本の構成は2017−2018年の平昌五輪シーズン初戦のロンバルディア杯で、旧ルール自己最高の214.97点を出した時に跳んでいた。ノーミスは難しいと承知はしているが、チェンら行なっている選手がいるからこそ、世界のトップに立つには自分も挑まないといけないという強い決意がある。

 今年のNHK杯は最初の4回転ループと4回転サルコウをきれいに決めたあと、後半の4回転フリップが2回転になり、次の4回転トーループとトリプルアクセルからの3連続ジャンプで着氷を乱すミスがあって187.57点にとどまった。だが、ロンバルディア杯の時の得点からジャンプ1本分と4回転トーループ+2回転トーループの基礎点が1.1倍になっていた分を引けば、207.87点になる計算だ。当時より各要素のGOE加点は高くなっていて、SPでも確実に100点台に乗せる安定感はあるだけに、すべてがうまくいけば310点台に乗せられる可能性がある。

 守る意識はなく、攻めに徹している今季の鍵山と宇野。ふたりがそれぞれに秘めている可能性を大きく開花させる姿を、全日本選手権で見せてもらいたい。

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