羽生結弦がロックチューンにかける思い。世界に「明日への活力を」 (2ページ目)
今季SPで演じた『レット・ミー・エンターテイン・ユー』は、「こういう世の中だから観る人たちに楽しくなってもらいたい」という理由で選んだプログラム。今回滑った『レッツ・ゴー・クレイジー』も同じような意図を持って作ったもので、羽生自身、「観客とコネクトしたい」と口にするようになった曲だ。だからこそ、このアイスショーで演目として選んだのだ。
翌日テレビ放映もされたその滑りは、そんな思いを発散するものだった。最初のループは前日と同じく3回転に抑えたが、次の4回転トーループには両手を上げた3回転トーループをつけて連続ジャンプに。そして、フライングキャメルスピンの後に、まるでステップとも言えるノリノリで踊る滑りでつなぎ、カウンターからのトリプルアクセルをきれいに決める。そして、終盤のステップシークエンスで、以前から彼が目指していた余裕を持ったクールな滑りを見せると、最後は足替えコンビネーションで締めくくった。
演技後は荒い息遣いの中、笑みを浮かべて納得の表情。「ありがとうございます」と口にしながら四方に丁寧にあいさつをした。
「今回は、『楽しんでもらいたい』というのが一番です。そもそもアイスショーをさせていただくのも特別です。本当に苦しく、いろいろと生きづらい世の中ですが、それでもここに来てくれたからこその特別な意義を。せっかくだったらやっぱり、心から何かを燃え上がらせるような、明日への活力となるような演技をしたいと思いました」
羽生は、来シーズンへ向けた4回転アクセルへの思いも話した。
「(3月の)世界選手権前にかなり4回転半の練習をして、やっと道筋が見えてきたかなという風に思うので......。ただ、がむしゃらにやるだけではなく、基礎練習や、アクセルのために何ができるかをまた一から考え直し、一から作り直す。羽生結弦のジャンプだと思ってもらえるようにするために、来シーズンへ向けて頑張っていきたいです」
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