羽生結弦、国別対抗戦に持ち前の集中力で臨む「誰かの光になれるように」

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 高橋 学●写真 photo by Takahashi Manabu

14日、公式練習で氷の感触を確かめた羽生結弦14日、公式練習で氷の感触を確かめた羽生結弦 4月15日に開幕する2020ー21シーズン最終戦となる世界フィギュアスケート国別対抗戦。この大会への思いを、「誰かの光になれるように」という言葉にした羽生結弦。大会前にはこうコメントした。

「(3月の)世界選手権はよい演技だったとは言えませんが、それでも声をかけてくれる人たちは、『勇気をもらえました』とか『希望の光でした』などと言ってくれました。そういう言葉をいただいたときに、僕は、たとえ結果がよくなかったとしても、納得できるものでなかったとしても、誰かのためになれているな、という感じがして。それを常に心の中に持ちながら演技をしたいと思いました」

 公式練習が行なわれた14日、会場となる大阪は、新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多を更新した。そうしたなか、羽生は決意をこう述べている。

「今、大阪が大変なのは重々わかっていますし、世界も日本も......、また、僕の地元である宮城県や仙台市も大変なのはわかっています。今季は辞退した試合もあれば、決断して出場した大会もあった。その経験を踏まえたうえで、今、僕ができるのはここに立って、ここに演技を残して、誰かの何らかの希望だったり、心が動く時間だったり、本当に1秒でもいいから誰かのなかに残る演技をすべきだと思って、ここに来ています」

 羽生自身、世界選手権が開催されたスウェーデン・ストックホルムから帰国後の隔離期間が終了したばかりで、大阪入りしたのもこの日だった。同日午後の公式練習でリンクに上がったが、「着いたばかりで若干、足がフワフワしたところもありましたが、それも含めていい調整はできた」と話す。

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