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宇野昌磨、悔しくて楽しいと笑顔。世界選手権が無観客開催の影響を語る (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 田口有史●撮影 photo by Taguchi Yukihito

 3月25日、ストックホルム。世界フィギュアスケート選手権、男子シングルのショートプログラム(SP)で、宇野は23番目の滑走順でリンクに立っている。緊張した様子は見えなかった。リンクサイドで、ランビエルと交わす笑顔には余裕までにじんだ。

 勝負に挑むときの呼吸を身につけているのだろう。

「(本拠地の)スイスで練習してきたことが何だったのか、っていうくらい、(現地に入ってから)ジャンプが跳べていなくて」

 宇野はそう言って、マイペースな口調になった。

「焦りはなかったんですけど、どうしたもんかなって思っていました。それが、6分間練習が始まったら、不思議と全部のジャンプが跳べるようになっていて。本当にわかんないものだなって(思いながら)、試合に挑みました」

 ひとつ大きく息を吐いて、スタートポジションに入ったとき、その顔つきは柔らかく、無駄な力は入っていなかった。勇壮な旋律の『グレート・スピリット』が会場に鳴り響き、自然に演技に入っていた。冒頭、基礎点の高い4回転フリップを完璧に決め、GOE(出来ばえ点)も2.51点がついた。これ以上ないスタートだった。2本目のジャンプも、4回転トーループ+2回転トーループを成功。ふたつ目を3回転トーループから落としたが、GOEでは2.58点を出した。

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