2021.02.01

三原舞依の人柄がスケーティングを形作る。正念場で見せる渾身の演技

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 坂本 清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

愛知国体フィギュアスケート成年女子フリーを滑る三原舞依 1月30日、名古屋。フェンスの外側に立った三原舞依(20歳、シスメックス)は両手を握りしめ、胸元に上げ、懸命に祈っていた。兵庫県代表の同志で、同門の盟友である坂本花織が滑り始めるところだったが、人はそこまで切実に健気に他人を応援できるものか。最後のジャンプ、目の前の3回転ループでは「はい!」と跳び上がるタイミングで声をかけていた。見事に着氷すると、自らぴょんと跳び上がり、小躍りで喜ぶ。

「(中野園子)コーチがいつもそうなので、思わず掛け声が出ちゃって。(坂本)花織ちゃんよりも、ガッツポーズしてたかも!」

 三原は1位になった坂本を祝福し、その瞬間を朗らかな表情で振り返った。人柄がにじみ出ていた。その人間性がスケーティングも形作るのだろう。

 愛知国体・フィギュアスケート成年女子。兵庫代表の三原はショートプログラム(SP)で5位と振るわず、フリースケーティングに挑んでいた。全日本選手権を戦い切ったことで、体の動きは重く映った。坂本の「一緒に兵庫代表で」という"説得"で出場を決めたが、難病から復帰したシーズンを戦ってきた消耗のツケを払っていた。

「正直に言うと、全日本から調整は順調ではなくて。納得できるまでの練習はできていませんでした」

 三原は隠さずに言った。

「(冒頭の)3回転3回転のコンビネーションも、それでこけたり、回転不足を取られたりするよりは、3回転2回転で加点をもらったほうがいいかな、と。一瞬の判断で切り替えました。全日本の時よりも(スケーティングに)強さはなくて、うまく切り替えて滑れたのはよかったと思いますけど」

 63.24点とジャンプの加点がつかず、苦しんでいた。