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羽生結弦が誇りを持つ名プログラムでの快挙。「これが限界ではない」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

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2015年NHK杯の羽生。『SEIMEI』を完璧に演技してみせた2015年NHK杯の羽生。『SEIMEI』を完璧に演技してみせた その痛烈な悔しさがあったからこそ、次戦のNHK杯では思い切った構成変更に出て、難度を高めたショートプログラム(SP)を成功させた。106.33点の世界歴代最高得点を出した。そして、フリーでまたしても記録を更新したのだった。

 羽生は、演技を終えると大きく右腕を振り上げて満足の気持ちをあらわにし、得点を確認すると驚きの表情を見せた。表彰式後の記者会見で、「正直、自分自身がまだ興奮していて、何と言っていいかわかりません」と口にした。

 そのフリーの得点は、それまでの最高記録を20点近く上回る216.07点。SPとの合計でも史上初の300点超えを果たし、一気に322.40点まで伸ばした。

 振り返ってみると、この日、男子シングル・フリーの上位選手は苦しい展開が続いていた。

 まず、今大会で5位以内ならグランプリ(GP)ファイナル進出が決まるSP4位のマキシム・コフトゥン(ロシア)が10位に沈んだ。最初の4回転サルコウとトリプルアクセルを決めながらも、次の4回転サルコウが1回転になるなどジャンプミスを連発した。また、SP3位の無良崇人も、冒頭からの4回転トーループこそ2回決めたが、スピードのない演技になってミスが続き、思うように得点を伸ばせなかった。結果は3位だった。そして、SP2位で、フリーでは3種類の4回転を合計4回入れていたボーヤン・ジン(中国)も細かなミスを繰り返し、合計で266.43点。2位だった。

 ところが羽生は、そうした流れにまったく影響されなかった。前日のSPの勢いそのままにスピードに乗って滑り始めると、冒頭の4回転サルコウを難なく決めてGOE(出来栄え点)で2.86の加点。続く4回転トーループも完璧に決めて2.57点の加点をもらった。

 さらに、スケートカナダは少し抑え気味だった前半最後のステップシークエンスも力強く踏んでレベル4を獲得。今シーズン過去2戦で苦しんでいた後半の4回転トーループもセカンドに3回転トーループをつけて成功させたのだ。

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