2021.02.01

羽生結弦が誇りを持つ名プログラムでの快挙。「これが限界ではない」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

無料会員限定記事

『羽生結弦は未来を創る〜絶対王者との対話』
第Ⅴ部 プログラムの完成(3)

数々の快挙を達成し、男子フィギュアスケートを牽引する羽生結弦。常に挑戦を続ける桁外れの精神力と自らの理想を果敢に追い求める情熱を持つアスリートの進化の歩みを振り返る。世界の好敵手との歴史に残る戦いや王者が切り拓いていく未来を、長年密着取材を続けるベテランジャーナリストが探っていく。

2015年のスケートカナダで『SEIMEI』を滑る羽生結弦2015年のスケートカナダで『SEIMEI』を滑る羽生結弦
 2015ー16シーズンに挑戦したフリー曲『SEIMEI』は、羽生結弦にとって新たな挑戦であり、決意のプログラムだった。

 フィギュアスケーターとしての幅を広げたいと考え、『和』に挑むことを決めた。羽生には「今の日本男子で、"和"のプログラムをできるのは自分しかいない」との自負があった。

 シーズン2戦目のスケートカナダは、技術点では基礎点が13.5点低いパトリック・チャン(カナダ)に3.18点の差をつけるにとどまり、演技構成点では6.22点上回られて敗れた。

「純和風を表現するという点では、その曲や自分の見せ方が、まだまだ未知の領域」

 羽生は『SEIMEI』についてそう話し、続けた。

「自分の伸びしろというより、このプログラムの伸びしろがあり過ぎるんです。それくらい僕は『SEIMEI』に誇りを持っているし、滑らせてもらうことがすごくうれしい。僕は自分のプログラムを作品だとは言わないですが、シェイ=リーン(・ボーン)さんが振り付けしてくれたこの曲に関しては、ジャンプ抜きだとしたら本当に作品に近いものだと思います。その中にジャンプを組み込んで演技にするのは僕自身。男子シングルのプログラムとして完成させるためには、もっとうまくならないといけない。こんなにすばらしいプログラムをせっかくいただいたから、もっとプログラムについていかなければいけないし、最終的には僕がリードしていけるくらいまで追い込んでいかなければいけないと思います」