日本女子フィギュア、次世代エース争い。切磋琢磨する3人の現在地 (2ページ目)
フリーでトリプルアクセルを決め、総合2位になった吉田陽菜 しかしまだ中学生の吉田は、その渾身の演技を凌駕した。冒頭、軽やかに大技トリプルアクセルで着氷。3回転ルッツ+3回転トーループも、わずかだが河辺を超える出来栄え点(GOE)を叩き出した。
「トリプルアクセルは自信があったので降りることができたし、よいアクセルだったので嬉しいです」
吉田は口もとに喜悦をにじませて言う。
「今はアクセルだけを考えなくても降りられるようになってきています。(アクセルが)どうなっても、他のジャンプを降りられるという気持ちで、(アクセルの)負担はなくて。降り方を改善して、ジャンプの高さが出て、余裕が出てきました。体幹が弱かったので、そこを一番練習ではやって。紀平(梨花)選手のアクセルは成功率が高いので参考にさせてもらっていますが、大事なのは自分のイメージを持つことだと思っています」
溌剌とした少女には、世代を飲み込む力があるかもしれない。
首位に躍り出た吉田の前に、松生は冒頭に記したように序盤で明らかに劣勢に立っていた。
「前の選手(吉田)がよい演技をしたので緊張があったのか。(待っているときに)声援がすごく聞こえてきて、(実際に)点数も高かったですから。それで1本目のジャンプは思ったように上がらず、ダブルアクセル(も得意)なのに失敗してしまって」
松生は心中を明かすが、その後にハイライトはあった。気を取り直したように一つひとつの技を丹念に行ない、スピンはレベル4を獲得し、確実にポイントを積む。アップにまとめた髪は上品で衣装と相まって、桜の花びらが舞うように可憐だったが、むしろ場数を踏んできた力強さが凛と映えた。
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