羽生結弦の名プログラム誕生の背景「今の自分だからこそできる」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

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日本の伝統舞踊の動きも参考にしたという『SEIMEI』日本の伝統舞踊の動きも参考にしたという『SEIMEI』 羽生は、プログラム作りの過程で、ボーンと一緒に日本の伝統舞踊について調べたという。狂言や能の動きを見て、姿勢を振らさずに流れるように歩く動きや滑らかさは「スケートにも通じるものだと感じた」という。羽生はそうした動きを「これからの自分の演技の中に取り入れていきたい」と目標を語った。

 ドリーム・オン・アイスでの『SEIMEI』はアイスショーバージョンで、フリー演技を1分半ほど短くしたものだった。3回の4回転ジャンプを組み込んでいたが、最初のサルコウと後半のトーループで転倒。羽生はこう話した。

「サルコウの失敗の原因もつかめてきています。ショーにお金を払って見に来てくださる方たちには申し訳ないところもあるかもしれないけど、僕はこのプログラムをみなさんに観られながら仕上げていきたいという気持ちがあります。もちろんいつも完璧にできるとは限らないですが、こういう場をひとつひとつ乗り越えながら、課題を見つけて頑張っていきたい」

 試合より狭いアイスショーのリンクで、難度の高い4回転ジャンプを3回も入れるのは異例のこと。羽生はそれをこなせるようになることで、前シーズンに果たせなかった「SPとフリーの両方で後半に4回転ジャンプを入れるプログラム」を完成させたいと考えていたのだ。

 このプログラムは「自分の世界に入り込み、感情や体まで、すべてを溶け込ませるものにしたい」と話していた羽生。とことん滑り込んでそれができた時、彼の中でこのプログラムが完成する。このシーズンの羽生は、アイスショーでも真剣勝負を続けていた。

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