髙橋大輔がアイスダンサーを目指す理由。
「簡単でないのは承知のうえ」 (2ページ目)
髙橋はアイスダンスをひとりのファンとして好きだったと言う。男子の試合の合間に、アイスダンスの試合を観戦する姿も見かけた。また、現役時代の2011年オフには、フランスのアイスダンスコーチのもとでスケーティング技術の習得に励み、バレエの柔軟性を学ぶために武者修行に出かけたこともある。2014年のソチ五輪後にいったん引退すると、ニューヨークにダンス留学したり、ダンスの舞台に出たりした。踊ることは、小さな頃から好きだった。
「ダンスはもともと好きで、よく見ていたし、引退してから趣味でやりたいと思っていたほどです」
シングルの選手として世界で戦うことには限界を感じていた髙橋にとって、今年1月、パートナーとなる村元哉中からのオファーがあったことは、新たな道が目の前に現れる絶好のタイミングだった。『氷艶』のアイスショーを控えた7月、新潟でトライアウトを行ない、初心者ながらも「『面白い、楽しい』と思う自分がいた」と、気持ちが大きく傾くほど興味をそそられた。
「(アイスダンスの練習は)ほとんどしていない。まだ(転向発表の時点で)3、4回くらい。シングルとアイスダンスはすべてが違いすぎるし、スケート靴も(エッジや形が)違う。20何年間、人の近くで滑っていないから、距離感の怖さはすごくあった。ステップとか互いが近くで力が合わさった時のスピード感や、ひとりでは感じられないくらいの体の傾きなどは、2人だからできるというのはあります」
全日本選手権まではシングル選手として全力投球するため、まだ本格的なアイスダンスの練習はしていない。だが、これから降りかかるであろう、試練、苦労は計り知れないもいのがあるはずだ。
「難しいところは、たぶん全部。(165cmの髙橋と161cmの村元の)身長差がなく、僕が小さいのは不利。そこを何とか生かせるようにしたい。リフトとスピンが大きな課題になる。
(「リフトはやった?」という質問に)まだやっていないです、怖いので。まずは肉体改造から始めて、陸の上からのスタートになります。1年でバキバキになっているかも(笑)。ひとりで滑ってきた時間が長いので、クセが強いと思うし、フリーレッグの位置や体のラインを合わせなくてはいけない」
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