トリプルアクセルに安定感。紀平梨花、GPファイナル制覇のカギは (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 今季のGP大会において、全選手中トップの合計得点は、NHK杯でSP5位から逆転優勝した紀平の224.31点だ。連続優勝となったフランス大会でも、SPでトリプルアクセルが不発だったにもかかわらず、それ以外の質のいいジャンプや軸がしっかりしたスピンなどの高い総合力を見せつけた。やはりトリプルアクセルを武器にして、シニアデビューシーズンのGPファイナルで金メダルに輝いた浅田真央以来となる快挙を成し遂げられるか。

「今大会は焦ることもなく、強気になることもなく、すごく思ったとおりの練習ができているので、あとは試合で自分の感覚をいい状態に持っていくのみかなと思います。ファイナルへの特別な感情はないですが、ファイナルという試合でしっかりと成績を残したいという気持ちはずっと持ち続けてきました。調子をよく保っているので、いまはとにかくこの大会をいい成績を出して終わりたいと思っています」

 そんな紀平の前に立ちはだかるのは、GP大会ではないが、ネーベルホルン杯で世界最高得点の238.43点を叩き出している五輪女王のアリーナ・ザギトワ(ロシア)になるだろう。ジュニア時代の対戦成績は1勝1敗。それ以来の久々の直接対決となる。今シーズンのザキトワは、身長が約7cm伸びるなど、身体的変化によるジャンプ調整に苦しむ姿も見せるが、大崩れしないようにハードな練習を積んできた様子が見て取れる。

 もうひとり侮れないのが、4年ぶりにGPファイナルの舞台に戻ってきた元世界女王のエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)だ。紀平と同じくトリプルアクセルをプログラムに組み込んで、徐々に成功の確率も上げてきている。14歳で鮮烈なシニアデビューを果たした後、浮き沈みの激しいシーズンを経て、今季は見事な復活劇を見せている。4年ぶりの大会制覇のチャンスをうかがう。

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